この一見して非合理で、超アナログな人海戦術を基本的な手法とし、「からくりビデオレター」や、若き安住紳一郎を一躍人気者にした「サラリーマン早調べクイズ」など、一般の人々の悲喜こもごもを描く新しい「笑い」を生み出すことに成功したのだ。
明石家さんまによる「誰も傷つけない」日本一のトークと、市井の人々による計算のできない躍動感のある笑いの組み合わせ。これらが「さんまのSUPERからくりTV」を長寿番組に育てたのである。
「とりあえず撮ってきて」の
スタンスが成功を生んだ
ちなみに「からくりTV」では以降「とりあえず撮ってきて」というのが基本的なやりかたとなった。
一般の方々が主役だったこの番組は、最終的には撮ってみないとわからないのだ。会議で作家やディレクターが提案してきた企画はある程度いけそうなものは、「じゃ、撮ってきて」となる。
『ドリフターズと全員集合から学んだ流儀』(園田 憲、ポプラ社)
撮ってきたうえで、荒編(編集部注/膨大な素材から必要なOKカットを選び出し、大まかにつなぎ合わせたもの)のVTRを見ながらいけるかどうか判断するのだ。「ビデオレター」も「サラリーマン早調べクイズ」も、それを勝ち抜いてきた企画なのである。
僕が好きな世界的な経営戦略の大家、ヘンリー・ミンツバークの言葉に「戦略は試行錯誤しながら形成されていく」というものがある。彼は、粘土と格闘する陶芸家が、ろくろを回すうちにいろんなアイディアが浮かび新しいものが生まれることを例にして、「行動が思考を触発し、新しい戦略が創発」されると書いた(注2)。
「とりあえず街の人たちに聞いてみよう」と行動を起こしたことで、そのビデオから思考が触発され、創発されたのが「夢スペシャル」や「SUPERからくりTV」という番組なのだ。
注2 『H.ミンツバーグ経営論』ヘンリー・ミンツバーグ著、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部 編訳、ダイヤモンド社、2007年。







