(3)心の苦悩(不安、恐怖、気分の落ち込み、孤独感、生き方や人生に関わる「心の痛み」)
がんと診断された直後は、「健康に気をつけていたのに、なぜがんに?」と感情が高ぶったり、死を身近に感じたりする。治療が一段落しても再発や転移への不安は消えず、孤立感を深めがちに。女性の場合は、乳房、子宮、卵巣などを失ったり、その形が変わったりすることで心を痛めることも。
(4)暮らしの負担(家計、仕事、家庭、家族や周囲との人間関係、治療後の社会復帰)
家族の1人ががんになると、患者さんや家族の暮らしにも影響する。治療で仕事を休んだりすれば収入が減るうえ、医療費の支払いなどもあり、家計は圧迫される。「体がしんどいので、仕事を辞めようか」といった気持ちになることもあり、暮らしに直結する悩みが尽きない。
がんにまつわる悩みは
どこに相談すればいい?
これらの悩みがあったら、ぜひ医療スタッフに相談してください。最近では、医療者側も患者さんの悩みや負担を理解し、さまざまな形でサポートする体制を整えています。全国で468カ所(2026年4月時点)が指定されているがん診療連携拠点病院や、がん診療病院には「がん相談支援センター」が設置され、がんに詳しい看護師やソーシャルワーカーなどが対応してくれます。
第三者に相談することで役立つ情報を知り、患者さんは自身の考えを整理できます。悩み解決に向けての一歩を踏み出すきっかけになるでしょう。
がんと診断されたとき、サポートの要となるのが家族や親しい人です。理解し合える相手がいることは大きな心の支えになります。
最初にがんと診断されたとき、また再発・転移を伝えられると、本人の心はかき乱されます。周囲の人は、「何かしなければ」と焦りがちですが、本人は極端に気を使われることや、無理な励ましを望んでいるわけではありません。大切なのは、そっと見守ることです。そばにいるだけでも、本人には安心感があるはずです。
患者さんが話したいことがある様子なら、じっくりと耳を傾けてあげてください。かける言葉がなければ、肩に手を置いたり手を握ったりするだけで、気遣いや思いやりが伝わります。
患者さんと家族で治療の方向性が対立するなど、お互いを大切に思うがゆえの行き違いが生じることがあります。家族だけで解決が難しい場合は、医師や看護師など第三者に相談するのも手です。家族で抱え込まず、外部の力も借りながら、本人、家族、専門家とともに歩むようにしましょう。
がん患者の心に寄り添う
言葉づかいを知ろう
患者さんが落ち込んでいるときには、周囲の人は細やかに気を配ることが大切です。本人が思いや希望を口にしたときは、話にしっかり耳を傾けましょう。言葉がけに気をつけ、場合によっては黙って聞き役に徹することも大切です。
case1
×そんなことを言ってはダメだ
×前向きに考えよう
本人は、ネガティブな言葉や、思わず死を口にすることがある。言葉としては正論だが、本人からすると「自分の気持ちをわかってくれない」と感じてしまうことも。
『がんになったとき知りたいことが全部のってる本』(山口 建<監修>、主婦の友社)
case2
×悩んだってしょうがない
×気分転換したほうがいいよ
本人は、「これ以上は聞きたくないんだな」と受け取るかも。
case3
○遠慮せずに何でも言って
いつでも助けてもらえる、いまは甘えてもよいのだという安心感を得られる。
case4
○お大事にしてね
多くの言葉をかけるよりも、心からの気持ちを短く伝える。







