ノーベル賞の登竜門・ラスカー賞受賞で話題! 睡眠学の世界的権威・柳沢正史教授が、最新研究をもとにやさしく解説した著書『世界最高の睡眠学が教える 睡眠の正解』が話題です。巷にあふれる睡眠の常識・思い込みの真偽を解き明かしつつ、「眠れない」「起きられない」「寝ても疲れがとれない」といった悩みの解消法を提唱します。あなたが本来の自分を取り戻し、よりよい明日を迎える睡眠のヒントをお届けします。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局・中村直子)

え、いいの? 睡眠学者・柳沢正史が明かす「私も寝る前にスマホを見ます」…寝る前でもOKなスマホの使い方Photo: Adobe Stock

寝る前のスマホは絶対NGではない

「寝る前にスマホを見てはいけない」

 こんなふうに言われつづけてきたせいか、就寝前にスマートフォンを手に取るたびに罪悪感を覚える方もいるかもしれません。

 じつは寝る前のスマホが、いつでも誰にとっても悪いわけではありません。問題は、スマホそのものというより、どう使うかなのです。

 私は、ベッドルームでスマホを完全禁止にする必要はないと考えています。実際、私自身、寝る前にベッドでパソコンやスマホを開くのが日々の入眠ルーティンになっています。

ブルーライトの光は簡単に減らせる

 スマホが悪者にされる理由の1つは、ブルーライトです。

 たしかにブルーライトには覚醒作用があります。しかし、問題はその“量”です。スマホの画面は小さいので、目に届く光の量は思われているほど多くありません。

 しかも、最近のスマホは文字どおり“スマート”です。夜になると自動で画面を暗くして色温度(光の青みや赤みを表す数値)を下げるナイトモードやナイトシフト機能が、標準で備わっています。画面が黄色っぽくなる、あの設定です。私自身、必ずこれをオンにしています。

 どのくらい違うのか、実際に画面の明るさを表す照度を測ってみました。

 ナイトモードを使わず、昼間の明るさでふだん見るくらいの距離にスマホを構えると、100~200ルクス。ところが、ナイトモードを使うと、同じ距離でも目に届く光はわずか2~4ルクスまで下がります。

 ナイトモードを使う、ただそれだけでこれほど大きく変わるのです。こう考えると、正しく使いさえすれば、寝る前のスマホの光だけを過剰に恐れる必要はないとわかります。

動画を眺めるだけなら、脳はそれほど興奮しない

 ベッドでスマホを使ってもいい。とはいえ、それはコンテンツ次第です。そのコンテンツがあなたに操作を求めてくる場合は、避けるようにしましょう。

 ゲームやSNSのように、自分で操作し、反応し、次の行動を求められる双方向のコンテンツは、脳を強く覚醒させます。実際、受け身で見るだけより、自分で操作する使い方のほうが、寝つくまでの時間が長くなることが報告されています。

 かたや同じスマホのコンテンツでも、動画をただ眺めるような一方通行の使い方なら、脳はそれほど興奮しません。

 寝る前のスマホが悪いのではありません。悪いのは、眠ろうとしている脳を起こしてしまう使い方です。スマホは、コンテンツしだいで眠りの入口にもなれば、覚醒のスイッチにもなるのです。いずれにせよ、眠くなったらやめて寝る。眠いのを我慢して見つづけるのは本末転倒です。それが守れない人は、ベッドでのスマホもやめたほうがいい。その意味でも、途中でやめても続きが気にならないコンテンツを選んでください。