怒っている相手への
“鉄板の一言”

 私が、怒っている相手に対して使いやすいと思っている言葉があります。

「状況を確認させてください」です。

 この言い方のいいところは、相手の怒りを否定せず、それでいて、こちらが全面的に非を認めることにもならない点です。

 たとえば取引先から、「納期が遅れて困っているんだよ!」と強い調子で言われたとします。

 ここで「でも、こちらにも事情がありまして」と返せば、相手には言い訳に聞こえかねません。

 一方で、事情も確認せず、「申し訳ありません。すべてこちらが悪いです」と認めてしまえば、事実関係を整理できないまま話が進んでしまうこともあります。

 そこで、たとえば「ご不便をおかけして申し訳ありません」と、相手が困っている“状態”には配慮を示す。そのうえで「状況を確認させてください」と続けるのです。

 相手は怒っているとき、「自分がなぜ怒っているのかを分かってほしい」と思っていることが少なくありません。

「状況を確認させてください」と伝えれば、「あなたの話をきちんと聞きます」という姿勢を示しながら、会話の焦点を感情のぶつけ合いから、「何が起きたのか」という事実確認へ移していくことができます。

第2回記事<「これもお願いできる?」仕事を押しつけてくる人から身を守る“感じのいい返し”とは?>は、10月1日(木)午前7時30分に公開予定です。大野萌子氏をフォローすることで、取材記事(全3回)をメールでお送りすることができます。

 怒っている相手への対応では、私はまず事実を確認することが大切だと思っています。

「おっしゃっているのは、この部分でしょうか」

「日程の件について、という理解で合っていますか」

 このように、相手が何について怒っているのかを一つずつ確認していくのです。

 そのうえで、ルールや数字、これまでの経緯などを、余計な感情を乗せずに説明します。

 ここで避けてほしいのが、「前にも説明しましたよね」「いつもそうですよね」といった“余計な一言”です。

 たとえこちらが正しかったとしても、相手の過去の行動や人格にまで話を広げてしまえば、再び火に油を注ぐことになりかねません。

 事実が「1」なら、「1」だけを伝える。それで十分なのです。