近頃は関西弁でなくても、「彼女、好きだよ」などと助詞を省く文を見かけることも多いが、「(自分が)彼女を好き」なのか「彼女が(何かを)好き」なのかがわからず、誤解を招くことがある。文章にする場合には、できるだけ助詞を省かずに書くようにしよう。
「ほらんといてや。ほっといてや」
その資料は決して捨ててはいけない
取引当日。Aさんが関西人の上司と取引先へ向かおうとしたところ、上司の机の上に資料が置いてあるのが目に入った。資料は、確かに自分が必要な部数分を用意し、カバンに「なおして」ある。
もしかしたら上司がメモを書き込んだ資料かと思って取りに戻ったところ、上司から「ほらんといてや。ほっといてや」と声をかけられた。
Aさんは意味がわからずにポカンとしていると、「これは本部長に渡す分なんや。東京出張から帰ってきはったら渡すもんやから、そのままにしといてや」と言われた。
この場合の「ほらんといてや」は「捨てないで」という意味であり、「ほっといてや」は「そのままにしておいて」という意味だ。
「ほる」は共通語では「掘る」であり、主に穴などを掘ることを意味するが、関西弁での「ほ(お)る」は「投げる、捨てる」を意味する。また、この場合の「ほっとく」は一般的な意味の「ほおっておく」であり、「放置する、そのままにしておく」という意味である。
しかし、ここでも関西弁の厄介さが顔をのぞかせる。「そのゴミ、ほっといてや」と言われた場合には、「そのゴミを捨てておいて」という意味になるのである。
ちなみに、「捨てる」という意味の関西弁の別の言い方としては「ほかす」もあるが、これは「捨てる」以外の意味はないので、意味を取り違える心配はない。
「ほっといてや」と言われた場合も、遠慮なく「そのままにしておくんですか、捨てるんですか?」と尋ねるといい。きっと、「捨ててどないするねん。そのままにしておくんや」とツッコミを入れるように、意味を教えてくれるに違いない。







