「えらいえらいわ」
それは、ほめられてはいない
無事に取引先との商談が終わり、上司と一緒に会社へ戻る道中。Aさんが充実感と高揚感のためか足早に歩いていると、上司から「えらいえらいわ」という言葉が漏れた。「やっと自分を認めてくれた。でも、そんなにほめなくても」と照れながら振り返ると、上司は顔色が真っ青で、滝汗をかいている。
上司が言った「えらいえらいわ」は「偉い、偉いぞ」ではなく、「ひどく具合が悪い」という意味だったのである。Aさんはあわてて上司を介抱し、会社へ電話を入れた。
関西弁の「えらい」には、「ひどく」「すごく」といった「程度がはなはだしい」という意味と、「疲れた」「具合が悪い」という疲労感や体調不良を表す意味とがある。また、「えらいことになってしもたな」の「えらい」には「大変だ」「とんでもない」という意味があり、「大変なことになってしまったな」という文意になる。
なお、「疲れた」「具合が悪い」という意味の関西弁には「しんどい」もあるが、この言葉は現在では広く全国で使われている。
関西弁の厄介さは、標準語圏の人からすると意味を取り違える可能性のある言葉があることだろう。しかも、「しんどい」の例のように、関西人は自分の話している言葉が全国でも通じると思っているきらいがある。
しかし関西人、特に大阪人は、「わからんことがあったら、聞けばええやん」という気さくな人柄の人が多い。意味がわからなかったら、遠慮せずに尋ねることだ。
きっと「あほやな、わからんのかいな」と軽口を叩いたり、「なんでそうなるねん」とツッコんだりしながら、その意味を教えてくれるに違いない。








