養老 この図鑑は実に「日本人」っぽいですよ。生き物に序列をつけていない。すべての動物を公平に並列して一冊にまとめている。
柳瀬 ゴリラ、せうぜう(=オランウータン)、くろせうぜう(=チンパンジー)から始まり、アメーバ・プロテウスとアメーバ・ヴェツルコサで終わってます。類人猿に始まり、原生動物で締めてます。たしかに、なかなかお目にかかれない編集です。
養老 しかも当時の分類に従って、手を抜かずに動物を紹介している。甲殻類だと、カニやエビやヤドカリと一緒に、微小なケンミジンコまで、おなじ分量で記載されている。
柳瀬 ミジンコも差別されてない。
養老 肉眼で見えるか見えないかくらいの小さなワムシ(輪形動物)が何種類も掲載されていたり、ジストマみたいな寄生虫まで、ウマやウシと同レベルで扱われている。
柳瀬 編集が「並列思考」ですね。
ポケモン図鑑と
『内外動物原色大図鑑』の共通点
養老 こういう「並列」の図鑑は世界的に見ても珍しい。そのせいで、ぼくの好きなゾウムシがゾウリムシとアフリカゾウと一緒に並べられて、間違えられそうだけど。
柳瀬 ゾウリムシは単細胞生物で、ゾウムシは甲虫。真ん中に「リ」が入ると入らないとでは大違いですよね。
養老 まったくです。
柳瀬 哺乳類から原生動物まですべての生物群を網羅している図鑑が戦前から出ているなんて、日本人って、昔からさまざまなジャンルの種=キャラクターを網羅して並べたい欲望が強いのかなあと。
そういえば、この『内外動物原色大図鑑』とそっくりの図鑑を持ってきました。現実の生き物だけじゃなくて、怪獣や妖怪のような空想上のキャラクターを次から次へと量産して並べてるんですが……。
養老 え。そんなもの、あるの?
柳瀬 ポケットモンスター(以後ポケモン)の図鑑シリーズです。「ピカチュウ」はネズミがモデルであるように、ポケモンは、さまざまな生き物がモチーフとなってます。カメだったり、イモムシだったり、花のラフレシアだったり、空想のドラゴンだったり。そしてポケモン図鑑では、あらゆる種類の生き物をモチーフにしたポケモンたちが、ずらっと並んでいる。これ、『内外動物原色大図鑑』とおんなじだなあ、と。
養老 面白いね。







