役割がなくても、自ら役割をつくる提案をする
では、セルフ・モニタリング能力が高い人は、実際にどのような行動を取るのでしょうか。
私が見てきた中で、とても印象に残っている事例があります。
あるとき、入社2年目の若手社員Aが私の担当する部署に異動してきました。
人事部からは「彼はポテンシャルが高い」と聞いていました。
そして、彼は異動早々、いきなり優秀さを発揮します。
当時、会社の事業は急成長しており、中途採用を積極的に進めていました。
そのため、職場の約2割が新人という状況でした。
一方で、新人を指導する先輩社員が全員育成に長けていたわけではなく、教育の質にはどうしてもばらつきが生まれていました。そんなとき、Aからこう提案されたのです。
「マニュアルを作成しませんか? 有志を集めて作成しますよ。
新人へのケアが必要だと思うんですよね」
こちらが役割を与えずとも、自らが役割をつくる提案をしてきたのです。
「批判」で終わるか、自分の役割を見出すか
人事が彼を優秀だと評価していた理由がすぐにわかりました。
普通は「この組織は、教育体制がまったくない」とグチや批評で終わるところでしょう。でも、彼はその状況に対し、自らができる役割を見出し、調整していたわけです。
その後、彼は最年少で部長に就任しました。さらに、コンサルで起業し、大成功をしています。
一方で、こんな部下もいました。
「会社の人事制度、納得いかないんですよね。これって成果次第では、給与が下がる可能性がある建てつけですよね。だとしたら、上司はきちんと成果を出せる役割を与えるべきだと思うんですよね」
彼はかつて課長を務めていましたが、そのときは管理職を離れ、営業職として働いていました。
プレイヤーとしては優秀な人でした。しかし、この言葉を聞いて、管理職として苦戦した理由が少しわかった気がしたのです。
「この状況で自分には何ができるか」を考えられる人が評価される
もちろん、彼の言っていることには一理あります。実際、人事制度や上司のマネジメントに改善の余地がある場合もあるでしょう。
ただ、この発言からは、「会社や上司は自分に何をしてくれるのか」という視点が強く感じられました。
一方で、組織から評価される人は、「この状況の中で、自分には何ができるだろうか」「今、自分に求められている役割は何だろうか」と考えます。
会社や上司を批判したくなっても、「自分はどんな役割をとるべきか」をまず考える人を組織は評価します。








