歳出の4分の1占めるが、超低利政策が
巨額債務のコストを覆い隠していた

 日本では長年にわたって財政赤字が続き、国債残高が増加してきた。26年度末の普通国債残高は約1145兆円と見込まれている。仮にこの全額に年3%の金利がかかるとすれば、単純計算では年間の利払いは約34.3兆円になる。しかし実際には、前述のように、26年度の「利子及び割引料」は約13兆円でしかない。

 これほど巨額の債務がありながら、これまで利払い費が財政を直ちに圧迫する事態にならなかった最大の理由は、既発国債の多くがこれまでの超低金利の下で発行されてきたことにある。

 日本銀行は長年、超金融緩和政策を続けた。とりわけイールドカーブ・コントロールの下では、10年国債利回りをゼロ%程度に誘導していた。このため、1000兆円を超える国債残高を抱えていても、日本政府はその規模に比べれば非常に低い金利で資金を調達できた。

 巨額の債務は存在していたのだが、そのコストが予算には十分に表れなかったのだ。

 しかし24年3月、日銀はそれまでの長短金利操作を中心とした政策の枠組みを改め、短期金利を主たる政策手段とする体制に移行した。その後、長期国債の買い入れを減らし、長期金利を市場で形成させる方向に政策を転換した。

 そして10年国債利回りは、今年9月月初に3%へ上昇した。その後いったん低下したが、日銀が18日に政策金利を1.25%へ引き上げると再び上昇し、24日には3.075%、28日には3.115%と約30年ぶりの高水準に達している。

金利上昇の影響は、高い金利での
国債借り換えによって徐々に大きくなる

 ただし、長期金利が3%になったからといって、1000兆円を超える国債残高全てに直ちに3%の利息がかかるわけではない。既に発行済みの国債には、それぞれ発行時に決められた金利が適用されるからだ。

 問題は、借り換えが生じたときに初めて顕在化する。

 超低金利時代に非常に低い金利で発行した国債が満期になると、政府はその元本を返済するために、新しい国債を発行する。新しく発行する国債の金利が3%前後であれば、低金利の国債が徐々に高金利の国債へと置き換わっていく。

 こうして金利上昇の影響は、時間の経過とともに累積していく。

 財務省の中期試算(「後年度歳出・歳入への影響試算」)では、一定の前提の下で、利払い費は2025年度10.5兆円、26年度13.0兆円、27年度15.5兆円、28年度18.5兆円、29年度21.6兆円に増加する。4年間でほぼ2倍になるわけだ。

 もっとも、これらの数字は確定したものではない。27年度以降の10年国債金利を3.2%、3.4%、3.6%と仮定した場合の機械的な計算だ。金利がこれより低くなれば利払い費も減るし、高くなれば増える。

 したがって「29年度に必ず21.6兆円になる」というわけではない。しかし、現在のような金利水準が続けば、過去の低金利国債が借り換えられるにつれて、利払い負担が大幅に増えることは間違いない。

 しかも、問題はそこで終わらない。利払い費の増加によって財政赤字が拡大すれば、それを賄うために、さらに国債を発行しなければならないからだ。そして、その新しい国債にも利息が発生する。

 こうして金利と利払い費、国債発行額が相互に影響し合うことになる。