財務省は国債発行の管理に努めてきたが、発行残高は増え続ける Photo:PIXTA
連載『ビジネスパーソンに必須!経済&ビジネスの最重要キーワード』の今回のキーワードは「国債」です。2027年度予算の概算要求では、防衛費や成長投資など歳出拡大につながる要因が並ぶ一方、飲食料品の消費税減税による税収減も見込まれます。市場が警戒するのは赤字国債の増発です。そもそも国債とは何なのか。建設国債と赤字国債の違いから、残高が1100兆円を超えるまでの戦後の歴史を振り返ります。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
予算編成で注目集まる国債
まず知っておきたい二つの種類
今回のキーワードは「国債」です。
2027年度予算編成に向けた各府省庁の概算要求の期限が8月31日に到来します。今年は例年以上に、概算要求額の規模に注目が集まっています。
防衛費の増額に加え、高市政権が掲げる危機管理投資や成長投資を進めるため、要求上限を設けない「強く豊かな日本」投資枠が新設されるなど、歳出を押し上げる材料が並んでいます。
一方、政府は27年4月から2年間、飲食料品にかかる消費税率を現在の8%から1%に引き下げる方針です。これによる税収減をどう補うかも、大きな焦点になります。
高市早苗首相は、この財源を赤字国債に頼らず、租税特別措置や補助金・基金の見直し、税外収入などによって確保する方針を示しています。
高市政権発足以降、日本の長期金利は上昇傾向をたどってきました。背景には日本銀行の利上げ観測やインフレへの警戒など複数の要因がありますが、積極的な財政運営によって財政が悪化するのではないかとの懸念も、国債が売られ、金利が上昇する材料の一つになっています。
市場は日本の財政運営を注視しています。その焦点の一つが、赤字国債が増発される事態になるかどうかです。
そもそも国債とは何でしょうか。
国が資金を借り入れるために発行する債券です。国債には借換債や財投債、復興債などさまざまな種類がありますが、国の一般会計の財源として発行される「普通国債」の中心は、建設国債と赤字国債(特例公債)です。
建設国債は、道路や港湾などの公共事業などの財源を調達するために発行する国債です。
これに対して赤字国債は「特例公債」とも呼ばれ、税収などでは賄えない歳入不足を補い、社会保障費をはじめとする一般的な歳出の財源に充てるために発行されます。
財政法第4条は、「国の歳出は、公債または借入金以外の歳入をもって、その財源としなければならない」と定めています。戦前の巨額の戦費を国債などで調達し、戦後の激しいインフレにつながった経験などを踏まえ、国の財政運営では借金に安易に依存しないという原則が置かれました。
ただし、財政法第4条のただし書きは、公共事業費、出資金、貸付金の財源については国債発行を認めています。これが建設国債です。
一方、赤字国債は財政法が原則として想定していないため、特例法によって発行が認められています。かつては原則として単年度ごとに特例法を成立させていましたが、12年度以降は複数年度にわたって発行できる仕組みに変わりました。現在は26年度から30年度の5年間について、各年度の予算で国会の議決を受けた金額の範囲内で特例公債を発行できます。
では、戦後の日本が国債発行に踏み切ったのはいつだったのでしょうか。
次ページでは、その答え合わせをしながら、戦後の国債発行額と残高の推移を振り返ります。







