仕入れ高騰でも値上げできない…企業を襲う価格差
物価高倒産と深く関係するのが価格転嫁である。まず、帝国データバンクが毎月実施している「TDB景気動向調査」から「仕入単価DI」と「販売単価DI」(※)の推移をもとに、そのギャップ(仕入単価DI―販売単価DIの差=仕入販売ギャップ)を見ておきたい。見方としては、この差が大きければ大きいほど、仕入れ価格の上昇分を販売価格へ転嫁できていないことを示す。
コロナ禍以降の仕入れ販売ギャップの推移をみると、2020年~2021年夏頃までその差は1桁台で推移、とくに2020年の差は3~5前後で推移していたが、その後、2021年に入ると徐々に上昇。2022年にはロシアによるウクライナ侵攻をきっかけとして、素材やエネルギーコストの上昇によって、その差は10を超え、概ね13~14で推移するようになる。物価高倒産との関係でみると、2022年(320件)から翌2023年(775件)にかけて、急激な増加を招くことになった。
その後、2023年以降、仕入れ販売ギャップは増減を繰り返しながらも総じて低下傾向を辿ることとなり、2025年12月には6.4にまで縮小していた。とは言え、コロナ禍と比較すると、その差は高止まり状態とも言える状態で、もともと収益性の低い企業にとってはボディブローとなり資金繰りが悪化。物価高倒産は2024年=933件、2025年=949件と、増加幅は緩やかながらも年間最多を更新し続けてきた。
※「仕入単価DI」と「販売単価DI」…前年同月と比較して仕入あるいは販売単価が上昇したか低下したかを表す。数値が大きいほど仕入(販売)単価の上昇幅が大きく、数値が小さいほど仕入(販売)単価の低下幅が大きい。
負債10億円以上の倒産も
こうして迎えた2026年。中東情勢が緊迫した。仕入販売ギャップは再び拡大傾向を辿り、4月~6月にかけて10を超えて推移、7月以降は徐々に低下してきているものの、中東情勢の終結が見えてこないなかで原油高が続いている。この間、物価高倒産は4月に2018年の集計開始以来最多となる108件を記録して以降も、6月に113件、7月は121件と単月ベースでの発生件数は過去最多を更新することとた。
今年に入ってからの物価高倒産について、その中身をみてみると、業種別で最も多いのが「建設業」の212件で27.8%を占めた。以下、「小売業」(176件、23.1%)、「製造業」(130件、17.1%)などと続いている。
また、負債規模別にみると、「負債1億円未満」が433件で56.8%を占め最も多く、以下「1億円~5億円未満」(257件33.7%)、「5億円~10億円未満」(41件、5.4%)などと続いている。
企業体力に乏しい小規模企業が物価高の影響をより大きく受けているのは、ある意味、致し方ないとも言えるが、その一方では負債10億円以上の比較的規模の大きな企業も物価高の影響を受けて倒産に至っている。







