このコーナーでは、私が作った模型を使っていました。事故によって実車が大破したり廃車になったりしているケースが多いため、事故の様子を分かりやすく説明するためには実車を再現した模型を使うのが最適だったのです。最初に事故車両の大型ダンプの模型を作って駒沢先生のところに持っていったところ、
「松井君、これはいい。分かりやすく説明できる」
と褒めていただいたことから、それ以降は基本的に放送で扱う事故車両はすべて私が製作するようになっていました。事故から何年も経過していて、事故車両のキットが市場に出回っていないこともしばしばでしたが、マニアのネットワークを使って絶版品の該当車両を探し出し、毎回なんとか模型を用意しました。こんなところに「絶版コレクター」の経験が活きるなどというのは、思いもよらないことでした。
ありあわせの模型では
事故の再現をすることができない
このコーナーのとある回で取り上げたのが「30トンの大型トレーラーと衝突したワンボックスカーを運転していた青年が死亡」という痛ましい事故でした。番組で事故とは関係のない運送会社に協力してもらい、事故を起こしたトレーラーと同型のトレーラーを使って検証撮影も行いました。
その際に「色々な角度から現場を俯瞰できる模型もあれば、分かりやすいのでは」と考えた私は、市販されているものの中では事故車に形が近い、牽引車とカートランスポーターのプラモデルを完成させ、撮影現場に持ち込みました。
この時、実車を使った検証撮影は成功し、1回目の放送は無事に終了したのですが、模型を使った撮影の方は上手くいきませんでした。事故を起こした牽引車とトレーラーに対して今回のプラモデルでは、形が大きく異なっていたため、肝心の衝突位置であるトレーラーと牽引車の接続部が、実車のサイズで数十センチも後方になってしまうのです。
この事故にはトレーラーの急ブレーキや急ハンドルによって牽引車とトレーラーが「く」の字に折れ曲がる「ジャックナイフ現象」が深く関わっており、接続部の位置のズレは事故を検証する上で致命的でした。ありあわせのカートランスポーターのプラモデルでは、この事故を再現することができなかったのです。







