ドコモ新型モビリティPhoto by Yuito Tanaka

2023年7月の道路交通法(道交法)改正後、「Luup」などの電動キックボードなどの普及が進む一方で、事故やルール順守の問題が浮上している。そんな中、ドコモ・バイクシェアが新型電動モビリティを導入。しかし、他社と異なり“自主規制”を設けての新規参入となった。その狙いとは何か。法改正から1年半強をかけた市場投入の背景と独自戦略に迫る。(ダイヤモンド編集部 田中唯翔)

道交法改正から1年半強が経過
ドコモ子会社がついに新型車両投入

 2025年4月8日、自転車のシェアリング事業大手のドコモ・バイクシェアが、広島市で新型電動モビリティの実証実験を開始した。

 今回導入されるのは、特定小型原動機付自転車に分類される電動モビリティだ。特定小型原動機付自転車は、23年7月の道路交通法改正によって新設されたカテゴリーの乗り物になる。法改正後、Luup(ループ)をはじめとする企業が電動キックボード型モビリティのシェアリング事業を展開し、街中でも見かける機会が増えている。

 特定小型原動機付自転車の利用者は急増しているが、24年の死傷者数は238人に上り、安全面での課題も大きい。23年7月から24年6月までに発生した特定小型原動機付自転車関連事故のうち、9割以上がレンタルの車両による事故だった。

 こうした状況から、SNS上では特定小型原動機付自転車や電動キックボードの利用者だけでなく、シェアリング事業を手掛ける企業に対して批判の声が上がっている。公共の道路を利用する以上、事業者は事故防止や歩行者との共存のあり方を考えることが不可欠だ。

 Luupなどのライバル企業がすでに市場を開拓し、利用者を獲得している中、ドコモ・バイクシェアはなぜこのタイミングで特定小型原動機付自転車を導入したのか。

 次ページでは、ドコモ・バイクシェアがライバルよりも導入を遅らせた理由、そして電動モビリティのシェア市場の今に迫る。