2.数字では測れなかった「顧客や現場の真意」
実際、現実はその想定どおりには進みませんでした。ボディカウントの数字がどれだけ積み上がっても、北ベトナム軍や解放民族戦線の「国家統一」という強い意志や戦意をくじくことはできなかったのです。
それどころか、激しい戦闘によって民間人にも多くの犠牲が生じ、アメリカに対する現地の反感をさらに強める結果となりました。アメリカ軍が追い求めた「死者数」の増加は、決して「戦争終結への近道」を示すものではなかったのです。
ビジネスの視点:定性情報の軽視
「測りやすい数字」の過信は禁物です。データの上で成果が出ていても、現場のモチベーションや競合の執念、顧客の感情といった「数字に表れない事実(定性情報)」を見落とすと、戦略は破綻します
3.「見える化」の果てにあった泥沼
マクナマラは、戦争が長期化する中で軍事力をさらに投入することの効果に疑問を抱くようになります。しかし、その間にも戦争は拡大し続け、多くの犠牲者が生まれました。
戦況を数値で細かく把握し、合理的に戦争を進めようとしたにもかかわらず、アメリカは出口の見えない泥沼に深く入り込んでいきました。数字によって戦果を測ることはできても、戦争の行方を正しく見通すことはできなかったのです。
【まとめ】ビジネスパーソンに向けた教訓
この歴史から、現代のビジネスパーソンが学べる教訓は大きく2つあります。
➊手段の目的化を防ぐ
「数字を上げること」「KPIを達成すること」自体が目的化し、本来のゴール(目的達成や本質的な成果)から乖離していないかを定期的に疑う必要があります。
➋データと現場のバランス
データによる合理的な分析は不可欠ですが、それと同時に、現場の空気感や人の感情といった定性的な文脈を直視するバランス感覚こそが、大きな意思決定の失敗を防ぐ鍵となります。





