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資産格差が広がらなくても「豊かになれない人」が増えるワケ
イギリスの「フィナンシャル・タイムズ」紙(以下、FT)が、イギリス、アメリカ、ドイツ、フランスでは、1990年代半ば以降、家計の純資産の中央値がおおむね2倍になった一方で、賃金の中央値は約30%しか増えていないと指摘し、注目を集めている。
振り返って日本について見ると、これと関連する、富裕層が急増する現象が起きている。
普通の会社員として働きながら、長年の資産運用によって金融資産1億円以上の富裕層になった人々が増えていると野村総合研究所が指摘し、こうした人々を「いつの間にか富裕層」と呼んでいる。
欧米と日本で起きている現象には、どのような違いがあるのだろうか。
近年は富裕層がますます富を独占し、貧しい人々との格差が拡大していると考えられてきた。ところが、FTによると、欧米での富裕層上位1%が保有する資産の割合は、過去15年間にほとんど上昇していないという。
つまり、富裕層への資産集中が必ずしも進んでいるわけではない。
それでも、平均的な給与所得者が豊かになることは、以前より難しくなったと考えられる。たとえば、イギリスでは、平均的な給与の15%を貯蓄した場合、資産階層の下位25%から上位25%の水準に達するまでに必要な期間が、かつての約20年から約40年に延びたと試算している。
その理由は、賃金よりも資産価格の方が速く上昇しているからだ。
たとえば、資産1億円を保有する人と、1000万円を保有する人の資産が倍になったとする。資産が増えた割合は同じだが、資産額の差は9000万円から1億8000万円に拡大する。その間に賃金が上昇しなければ、資産の少ない人が働いてこの差を埋めるのは難しい。
FTは、資産格差の大きさだけでなく、「資産階層を上昇できる可能性」に目を向ける必要があると指摘する。
その点で見ると、欧米では資産階層を上昇することがますます難しくなっており、日本でも同様の問題が生じる可能性がある。







