どうして「おっしゃられる」が
こんなに広まってしまったのか

 近年目立つのが「過剰敬語」です。「おっしゃられる」のように、尊敬語に尊敬の助動詞を重ねるのは誤りですが、テレビなどでも使われ、定着しつつあります。丁寧さを出そうとして接頭語の「お」をつけて美化語にする傾向は昔からありましたが、「お受験」のように「お」をつけるだけで独特のニュアンスを放つ言葉も生まれています。また「させていただく」は謙譲語ですが、過剰に使われて耳障りに感じられることもあります。

 敬語に対する私たちの感覚には、日本人特有の心理傾向が垣間見えます。

 まず「人様に失礼があってはならない」という心理。「丁寧に話さないといけない」と思うあまり、敬語が過剰になってしまうのです。

 また「相手に不快感を与えてはいけない」という心理もあります。かつてメールでは「了解」という言葉が多用されていましたが、「『了解』は失礼だから『承知』を使うべきだ」というメール術が広まり、了解は承知に置き換えられていきました。本来「了解」自体には上下関係を示す意味はなく「了解しました」と丁寧語で言えば失礼にはあたりません。それでも多くの人は「相手が気分を害するかもしれない」と、「了解」を避けるようになったのです。メールのように顔が見えないコミュニケーションでは、相手の反応が読めないため「丁寧であること」に、より神経質になる傾向があります。

 日本語の過剰で過敏な敬語表現は「相手との関係をどう構築し、自分をどう見せるか」という日本社会の極めてデリケートな人間関係のあり方を映し出しているのです。

レストランの接客は
敬語の間違いだらけだった?

●ここで問題です。次の文章には、敬語の間違いが11箇所含まれています。正しく直しましょう。

Q6

「ご予約いただいた〇〇様でございますね。ご来店お待ちしておりました」

「こちらメニューでございます。特製オムライスが本日のおすすめ料理となります」

「かしこまりました。特製オムライスとコーヒーですね。コーヒーのほうは食後にお持ちいたしますか?」

「すみません、少々お待ちいただく形となりますが、よろしいでしょうか?」

「こちら特製オムライスとコーヒーになります。コーヒーにお砂糖とミルクはお使いになられますか?」

「ご注文のほうは以上でよろしかったでしょうか」

「お会計は1580円になります。2000円からお預かりいたします」

「ありがとうございました。またのお越しをお待ちいたしております」