アマゾンなどのEC(ネット通販)事業者が強いといっても、地方の風呂修理を請け負うわけではない。EC事業者がホームサービスを開始しても、地方で実務を担うのはこの小規模事業者だろう。米国ではこのホームサービス業界をHVAC(エイチバック)と呼ぶ。Heating(暖房)、Ventilation(換気)、Air Conditioning(冷房・空調)の領域だ。
次に買い手だ。日本で銀行や証券会社などに勤めている大卒のエリートはかつてはこれらのブルーカラー企業を軽視していたかもしれない。それは米国のウォール街のエリートも同じだっただろうが、現在はこの領域がもっともホットな買収のターゲットになっている。
米国の投資ファンドが
町の修理業者を買い集める
ウォール・ストリート・ジャーナルの記事によれば、2022年以降でなんと800ほどのHVAC(ホームサービス)関連会社がPEファンドに買収された。HVACを買収しては、各地域にサービスを提供するハブ会社が誕生している。
単独では数百万ドルだった企業を集め、コストを効率化しつつマーケティングの集約化で、数十億ドル規模のコングロマリットに育てているのだ。
PEファンドは、中小企業の顧客を推測し、他の企業との合併によって相乗効果をもたらす可能性をかぎつけては提案を繰り返す。中小企業にも輝く技術は多いのだが、日本ではどうしても小さな商いにとどまるケースが多い。それを米国のPEファンドらは、それらの技術を使用したプロダクトを拡大し利益を稼ごうとする。
よく「成功を収めたいのであれば、すでに成功しているひとをモデルにして、その方法を模倣すればいい」という。成功は手がかりを残す。米国においてブルーカラー業務を組織化し、そのうえでPEファンドに売却するモデルは、まさに模倣するべき型なのだろう。
そして米国には、ロールアップという言葉がある。これは、多数の小規模事業者が乱立しているなかで複数企業を買収し統合する企業が登場してまとめるという意味だ。規模の経済と統合による共同化によって収益性を高めるとともにコストを低減する。







