頭がいい人ほど、物事を冷静に判断できる。そう思っている人は多いかもしれない。しかし、どれほど知識や経験が豊富な人でも、一度「これが正しい」と思い込むと、間違った判断から抜け出せなくなることがある。しかも現代では、SNSや検索エンジンの仕組みによって、自分の考えを支持する情報ばかりが集まりやすくなっているという。私たちが自分の考えが間違っている可能性に気づきにくい理由を『すべて本能のせい』から解説する。(ダイヤモンド社書籍編集局)
Photo: Adobe Stock
「頭がいい人」でも判断を間違えるのはなぜ?
知識が豊富で、論理的に考えることができる人。
そんな人でも、自分の考えに縛られ、判断を間違えてしまうことがある。
たとえば、仕事で一度「この方法が正しい」と考えると、別のやり方を提案されても、なかなか受け入れられない。
自分の考えを支持する意見には納得する一方で、反対意見には耳を傾けにくくなる。
もちろん、反対意見を受け入れないことが、必ずしも間違いというわけではない。
しかし、自分の考えが正しいという確信が強くなりすぎると、判断を見直す機会を失ってしまうことがある。
しかも現代では、SNSや検索エンジンが、こうした思い込みを強める方向に働く場合もあるという。
「自分の考えが正しい」と思い込んでしまう仕組み
『すべて本能のせい』では下記のように解説されている。
特に現代で厄介なのは、一度「こうだ」と信じ込むと、それを支持する情報ばかりがさらに周りに集まってくる「自分で自分の考えを強めていくループ」が生まれてしまう点です。
いまの時代、私たちが使う検索エンジンやSNSのアルゴリズムは、過去に見たものや関心に合わせて、情報をカスタマイズして届けてくれます。
その結果、あなたの画面にはあなたと同じ意見ばかりが並ぶようになり、まるで泡の中に閉じ込められたように違う視点が見えなくなる「フィルターバブル」という現象が起きやすくなっているのです。
情報が爆発的に増えた現代社会では、すべての情報の正しさを自分で検証するコストが高くなりすぎました。
そのため、私たちはどうしても、自分にとって都合の良い情報だけをえり好みして消費せざるを得ない状況に置かれています。
さらに、ネットに流れる情報のスピードが速すぎるせいで、一つひとつの内容を疑う時間も足りません。
結果として、脳は見てすぐ直感的に納得できる、信じたい情報を優先してしまうのです。
「自分は正しい」と思うほど、間違いに気づけなくなる
この仕組みで厄介なのは、自分の考えを支持する情報に触れるほど、その考えが正しいという確信が強まってしまうことだ。
たとえば、ある健康法が効果的だと信じている人が、SNSで関連する投稿を繰り返し見ていたとする。
すると、似たような内容が次々と表示され、「多くの人が同じことを言っているのだから、正しいのだろう」と感じやすくなる。
しかし、画面に同じような意見が並んでいることと、その意見が正しいことは別の問題だ。
自分では十分に情報を集めたつもりでも、実際には似たような意見ばかりに触れている可能性がある。
その結果、自分の考えを見直すきっかけを失ってしまうのだ。
「間違った判断」を避けるために大切なこと
こうした状況を避けるために意識したいのは、「自分が見ている情報が、世の中の意見のすべてではない」ということだ。
重要な判断をするときには、自分の考えと異なる情報にも目を向けてみる。
また、疲れているときや強いストレスを感じているときには、判断を急がないことも一つの方法だ。
私たちの判断は、知識や能力だけでなく、そのときの心身の状態や、周囲の情報環境にも影響される。
どれほど頭がいい人でも、常に正しい判断ができるわけではない。
だからこそ、自分の考えを信じるだけでなく、「もしかしたら違うかもしれない」と考え直せる余地を残しておくことが大切なのだろう。



