人は誰しも、成功体験にがんじがらめになると思う。けれど経営者として従業員やその家族の人生にも責任を持つ立場なら、「俯瞰的な視点」が必要不可欠だ。会社を存続させる経営者は、「当たり」を再現しようとするよりも、「外れ」から学んでいると思う。

 採用もそうだ。いい人を引き当てられないなら、採用後に積み上げるしかない。そのためには教育の仕組みを整えるほかない。

値下げして潰れた会社はあっても
値上げして潰れた会社はほとんどない

 そしてトップは冷徹に、「売価」を考え続けねばならないと思う。私はずっとサプライチェーンの現場にいるが、すごく極論をいうと、値下げして潰れた会社はあっても、値上げして潰れた会社はほとんどない。経営者が数字に冷徹になれず、「情」で値上げしないケースは、会社を窮地に追いやる。

 会社を存続させるために重要なのは、大成功ではない。失敗を繰り返さないことだ。成功する経営者とは、失敗から学べる人だと思う。

 人間、1日だけなら暴飲暴食をしても重病になることはない。結局、健康を脅かすのは「悪い習慣」の積み重ねだ。

 会社を潰さない社長の話がいつも退屈なのは、潰れない会社には事件が起きないからだ。一方で倒産した会社の社長ほど、最後まで「次こそ当たる」と信じてしまっている。「事件のない毎日」を積み上げることこそ、経営という仕事ではないだろうか。

 会社を倒産させない経営者は、見たくない現実でもしっかり見て、自社の欠点を克服し続けなければならない。なんだかとても凡庸な結論になってしまった。でも、凡庸の中にこそ真実があるに違いない。