進化した電動駆動ユニットも印象的だ。BMWグループの電気自動車として初採用となる“誘導モーター”を前輪に、後輪には“巻き線界磁式同期モーター”を採用。圧倒的な効率と性能向上を実現している。前輪に採用した誘導モーターは、構造が単純で頑丈な非同期式電動機。4輪駆動モデルの前輪用として理想的な補助駆動ユニットといえる。iX3の場合、通常走行時は前輪の駆動が必要なときだけ駆動することで、効率を最大化している。

 一方、後輪に採用の巻き線界磁式同期モーターは、ローターに永久磁石ではなく電磁石(界磁巻線)を使用している。界磁電流を調整して磁力を可変できることにより、正確な出力制御、高効率で航続距離を延長させることが可能となっている。

デザインはモダンで未来的。
走りは超一流のドライバーズカー

 iX3は内外装も斬新。とくにインテリアは革新的だ。初採用となるBMWパノラミックiDriveは、43.3インチのBMWパノラミックビジョンと17.9インチのセンターディスプレイにより構成。パノラミックビジョンはフロントウィンドの端から端まで約1.1mをディスプレイゾーンとしており、ドライバーの好みに応じてカスタマイズが可能。スピードメーター、シフトポジション、充電状態、走行可能距離、外気温や時間などを表示させることができる。従来のメーターパネルが廃止された室内は、すっきりとモダンな印象。見た目だけでなく運転中のドライバーの視線移動が最小限になるので安全にも貢献する。

 ダッシュボード中央のセンター・ディスプレイは、ドライバー側に17.5度傾けられており、操作しやすく、タッチ操作で車両のほぼすべての機能を操作できる。細かなコントロールには慣れが必要だが、さほど難しくない。音声でも操作可能だ。BMW初採用の3Dヘッドアップ・ディスプレイも先進装備。カーナビのルート案内では、実際の道路をトレースしているかのような表示である。

 エクステリアも攻めた印象。個人的には小型化されたキドニーグリルに好感を抱いた。最近の超大型化していたデザイン処理と比較すると上質でさりげない。往年のBMWイメージも踏襲している。新しいのに、ちょっと懐かしさを感じさせる造形処理は見事である。

 ドライブフィールは、全長が4780mm、車両重量が2330kgあるとは思えないほど俊敏。まさに“駆け抜ける歓び”が存分に楽しめた。走り味は、まるでひと回り小さくて身軽な印象。それゆえか足回りは意外とハードで路面状況をダイレクトに伝えてくるが、それほど不快ではない。試乗車はグリップ指向のADVAN Sport V107を装着。ハンドリングの切れ味はシャープで、BMWらしいスポーティな走りを目指したことが理解できた。

 価格は、これほどの内容のクルマとしては控えめである。試乗車の50xDrive Mスポーツのプライスは1034万円。絶対的には高価だが、3Lターボを搭載したM50 XDrive(1021万円)と同等。ハイスペックBEVの中ではリーズナブルな部類に入る。細かく見ると装備が簡略化されている部分もあるが、実際に乗ると十分にラグジュアリーかつ上質。本革スポーツシートが標準となるなど満足度は高い。

 iX3ほど長い航続距離と速い充電速度を実現したBEVはない。ストレスなくロングドライブに出かけられるBEVの筆頭。まさしく現代のノイエ・クラッセの価値はそこにあると思う。iX3はBEVのスムーズな速さが存分に味わえ、すべてが新しい。まさに行動の自由を約束する新世代BMWである。

(CAR and DRIVER編集部 報告/岡本幸一郎 写真/横田康志朗)

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