例えば、ある市が道路を造りたいとする。市の予算は足りず、地方債の発行にも上限がある。そこで市の傘下の会社が銀行から資金を借り、建設を進める。形式上の借り手は会社だが、銀行は「いざとなれば市が支えてくれるだろう」と期待する。こうして、正式な地方債には表れない政府関連の借金が積み重なってきた。
もっとも、こうした会社の借金すべてを政府が返済する責任を負うわけではない。隠れ債務とは、法定の地方政府債務に計上されていないものの、地方政府が実質的に返済責任を負うと認定された債務を指す。融資平台が自ら返済すべき事業上の借金は含まれない。
この問題に対処するため、北京は2024年11月、全人代常務委員会で地方債の発行限度額を6兆元引き上げ、ほかの財政措置と合わせて2028年までの5年間で計10兆元規模の債務処理を進める方針を打ち出した。中国で「化債」と呼ばれる、地方の隠れ債務を整理する政策の一環である。
柱となるのは、金利が高く返済期限の短い借金を、比較的低金利で長期の正式な地方債に借り換えることだ。つまり、隠れ債務が減ったからといって、元の借金がすべて消えたわけではない。
隠れ債務を整理すれば
目先の資金繰りは改善する
一部は法定の地方政府債務に移った。それとは別に景気の下支えなどを目的とする国債や地方債も新たに発行されている。隠れ債務が減り、政府債務全体が増えることは矛盾しない。
では、単なる数字の付け替えなのか。そうとも言えない。返済期限が延び、利息が減れば、目先の資金繰りは改善する。財政部によると、2025年8月末までに借り換えた債務の平均利息コストは2.5ポイント以上低下した。短期的な危機を抑える効果は確かにある。
ただし、返済を待ってもらえても、収入が自然に増えるわけではない。会社でいえば、銀行が返済期限を延ばしてくれても、売り上げまで回復するとは限らないのと同じだ。
地方政府の
重要な財源が激減
では、地方政府が頼りにしてきた収入はどうなっているのか。







