重要な財源の一つが、不動産開発会社などに国有地の使用権を譲渡して得る収入だった。地方政府はその資金を使って道路や公共施設を整備する。交通の便が良くなれば周辺の開発も進み、さらに土地の需要が生まれる。不動産市場が拡大する間、この仕組みは地域経済を支えていた。

 ところが、不動産不況で開発会社が土地を買わなくなった。国有地使用権の譲渡収入は2021年の約8兆7051億元をピークに、2025年には約4兆1500億元と半分以下に落ち込み、2026年1~8月も前年同期比28.6%減だった。借金の返し方が改善しても、かつての重要な財源は戻ってこない。

図表:国有地使用権の譲渡収入(2016~2025年)
公表資料を基に編集部作成 拡大画像表示

 問題は、収入が減っても地方の仕事は減らないことだ。中国は政治的には中央集権的だが、教育や医療、地域のインフラなど、住民に身近なサービスの多くを担うのは地方政府である。中央は税収の配分や財政移転で地方を支えているものの、地方の支出責任と安定した財源は必ずしも見合っていない。

習近平政権も
地方財政の問題を認識

 習近平政権もその問題を認識している。2024年7月、経済や財政などの改革方針を決めた中国共産党の第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)は、地方の財源を強化し、中央が担う仕事と財政支出の割合を増やす方針を示した。

 地方債務は、単に各地が借金をしすぎたという話ではない。その背景には、財政制度だけでなく、地方に経済成長を求める政治の仕組みもある。地方政府には、教育や医療などの公共サービスに加え、企業を誘致し、雇用を守り、地域経済を成長させる役割も求められる。毎年、各地の政府はGDP成長率などの目標を掲げる。

 かつては成長率が幹部の重要な評価指標だった。2013年以降、中央は「GDPだけで実績を測らない」と強調し、債務管理や公共サービスも重視してきた。それでも、地方の発展責任が消えたわけではない。