2026年5月20日、ロシアのプーチン大統領との会談後、北京で行われた署名式に出席する中国の習近平国家主席 Photo:AFP=JIJI
2026年1月、中古商品のレンタルを、中国が国家として支援すべき「新型消費業態」として明確に位置づけた。「中国の若者は所有よりも体験を重視するようになった」のだろうか。なぜ中国政府はこのタイミングで、レンタル経済を国策として推進し始めたのか。その背景にある切実な事情を詳しく説明する。(北海道大学公共政策大学院研究員 王 彦麟)
「若者がモノを借りる」
という話ではない
2026年1月、中国商務部など九つの政府機関が連名で、一つの通知を発表した。「グリーン消費推進行動の実施に関する通知」である。タイトルだけを見れば、環境配慮型の消費を促す、いかにも中国政府らしい政策文書に見える。だが、その中に見過ごせない一文があった。
中古商品のレンタルを、国家が重点的に支援・育成すべき「新型消費業態」として明確に位置づけたのである。これは単に「中国の若者がモノを買わずに借りるようになった」という消費トレンドの話ではない。中国政府が中古商品レンタルを国家政策に組み込んだ点が重要なのである。
2025年8月に発表された「循環経済を背景とする消費レンタル産業の健全な発展に関する白書」によれば、2024年の中国レンタル経済の取引規模は4.2兆人民元に達したとされる。延べ利用者数は7.5億人を超え、2000年代生まれの若者のレンタル注文数は前年の2倍以上に増加したという。30歳以下の利用者は全体の6割以上を占めており、レンタル消費の主力層となっている。
こうした数字だけを見れば、「中国の若者は所有よりも体験を重視するようになった」と説明したくなる。実際、ドローンや一眼レフ、キャンプ用品など、使用頻度は低いが価格の高い商品は、もともとレンタルと相性がよい。
「買えない」のか
「買いたくない」のか
だが、それだけでは中国でいま起きている変化の核心を捉えきれない。問うべきなのは、中国の若者がなぜモノを借りるようになったのか、だけではない。







