「老後のために、できるだけお金を貯めておきたい」。そう考える人は少なくないでしょう。将来の生活に備えて、若いうちから貯金をすることは大切です。しかし、お金を貯めることばかりを優先していると、気づかないうちに大切なものを失ってしまうこともあります。では、一生懸命お金を貯めてきた人が、人生の最後に気づく「取り返しのつかないこと」とは何なのでしょうか。『人生は気づかぬうちにすぎるから。』の著者クリス・ギレボー氏が、将来に備えながら、今の人生も豊かにするための考え方を語っています。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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後回しを続けていないか?
「老後のために、できるだけお金を貯めておきたい」
「旅行や趣味は、もっと余裕ができてから楽しめばいい」
そんなふうに考える人は少なくない。
将来、何が起こるかわからない。病気や介護、思いがけない出費に備えて、若いうちから貯金をすることは大切だ。
しかし、お金を貯めることばかりを優先していると、いつの間にか、自分が本当にやりたかったことまで後回しにしてしまう。
行ってみたかった場所への旅行。大切な人との食事。ずっと興味があった習い事。
「もう少しお金が貯まったら」と先延ばしにしているうちに、仕事が忙しくなったり、体力が落ちたり、生活環境が変わったりすることもある。
お金はあとから貯められるかもしれない。しかし、そのときにしかできなかった経験を、あとから取り戻せるとは限らない。
では、将来に備えながら、今の人生も大切にするにはどうすればいいのだろうか。
「楽しみ」を後回しにしない
そのヒントになるのが、次の言葉である。
パーソナルファイナンスの世界には、「ペイ・ユアセルフ・ファースト(まず自分に払う)」という考え方がある。これは、給料を受け取ったら、自動的に貯蓄口座や退職金口座にお金を振り替えることを指す。誰でも毎月の生活費が必要だが、このような自動的な仕組みをつくっておかないと、貯蓄をするのは難しくなる。
もともと几帳面なタイプの人でも、貯蓄を自動化すれば毎月どれくらいの額を貯金するかで頭を悩ませる必要なく、他のことに気を配る余裕が生まれる。
貯蓄にはぴったりの方法だが、これを時間の使い方に応用することはできないだろうか?
つまり、「楽しみ」を後回しにせず、優先順位を高くしたら?
――『人生は気づかぬうちにすぎるから。「自分第一」で生きるための時間術』よりお金を貯めるときは、給料が入ったら先に一定額を貯金し、残ったお金で生活する。
そうすることで、無理なく貯金を続けられる。
しかし、時間についてはどうだろうか。
仕事や家事、家族の用事など、やるべきことを先に予定に入れ、残った時間で自分の好きなことをしようと考えていないだろうか。
ところが、やるべきことには終わりがない。
一つ片づけても、また新しい用事が生まれる。「時間ができたら」と考えているうちに、何年も過ぎてしまうことだってある。
だからこそ、お金を先取りで貯めるように、自分の楽しみのための時間も、先に確保しておくことが大切なのだ。
行きたかった場所へ出かける。会いたかった人に会う。興味のあったことを始めてみる。
もちろん、将来のための貯金をやめる必要はない。
大切なのは、将来に備えることと、今を楽しむことのバランスを取ることだ。
一生懸命お金を貯めた人が、人生の最後に気づくかもしれない「取り返しのつかないこと」。
それは、お金を貯めることに夢中になり、そのときにしかできなかった経験を逃してしまうことではないだろうか。
お金は将来の自分を支えてくれる。しかし、今という時間は、二度と戻ってこない。
「いつか余裕ができたら」ではなく、「今できることはないか」と考えてみる。
それが、人生をより豊かにするための大切な一歩になるだろう。






