人の嫌がる仕事も“キャリア資産”になる可能性を秘めている
また、会計上ではお金で表せるものしかBSには表現されないが、実際の企業の価値算定を行う場合などは、「無形資産」と言われる「認知度」「ブランド」「商流」「技術・ノウハウ」といったものも併せて評価していく。
多くの人は、自分のキャリアや生活をPL、つまり「今の給料(売上)」と「今の労力(費用)」の差分だけで捉えがちだ。「給料はそこそこでいいから、楽に働きたい」と考えるのは、PL上の利益(=今の快適さ)を最大化しようとする発想だ。
もちろん、ワークライフバランスは大切だし、心身を壊すような計画性のない働き方は論外だ。しかし、もしあなたがまだ現役で、仕事もプライベートも長期的な成功を望むのであれば、目の前の快適さだけを追求することは、将来の可能性を自ら閉ざしてしまうリスクを孕んでいる。
なぜなら、キャリアにおいて最も重要なのは、PL上の利益ではなく、BSにおける「キャリア資産」の積み上げだからだ。
そしてここでの資産とは、金融資産のことではない。「経験」「スキル」「知識」、そして「信頼」といった無形資産(人的資本)のことも含まれる。PL思考の人は「今の苦労」を単なるコスト(損失)と捉えるが、BS思考の人はそれを将来にわたってキャッシュや価値を生み出し続ける「投資」と捉える。
たとえば、誰もが嫌がる難易度の高いプロジェクトに手を挙げること。これは短期的には残業が増え、精神的負荷もかかる「コスト」かもしれない。
しかし、それを乗り越えた経験は、あなたのBSに「希少なスキル」や「完遂力」という資産として計上される。わかりやすく言えば、「その成功をもとに次のプロジェクトメンバーに指名される」「面接の現場で言えることが増える」わけだ。
そして、その経験は1つの大きな資産としてあなたの価値を高める。要するに、この経験資産は、一度手に入れれば、その後の長いキャリアにおいて何度でも価値を提供し続けてくれるのだ。これまでの仲間を思い返しても、「なんであいつはいつも評価されるんだろう」と感じた人は、皆この「キャリアのルール」を理解していたように思う。



