儲かっているのになぜ?JR東海が「のぞみ」値上げに踏み切ったワケPhoto:PIXTA

JR東海とJR西日本は10月16日、東海道・山陽新幹線における「のぞみ」「みずほ」の指定席特急料金とグリーン料金を、2027年7月1日購入分から値上げすると発表した。値上げ幅は区間によって異なる。例えば、東京~新大阪間の特急料金は700円、新大阪~博多間は280円の値上げとなる。今回の値上げが何を目的に、どのような仕組みで行われるのか、JR東海への取材をもとに解説したい。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)

鉄道の運賃はどう決まる?
旅客に不利な値上げを防ぐ仕組み

 鉄道の運賃は総括原価方式に基づく認可制である。鉄道では完全な競合区間はほとんど存在しないため、原則として利用者はサービスを選択できない。旅客が不利になる一方的な値上げを防ぐため、運賃は営業費(人件費、経費、減価償却費)、支払利息、配当金など、鉄道経営に必要な「総括原価」の範囲で設定しなければならない。

総括原価方式における総収入・総支出内訳総括原価方式における総収入・総支出内訳(筆者作成)
拡大画像表示

 鉄道運輸収入の減少や経費、人件費の増加で、総収入が総支出(総括原価)を下回ると運賃改定を申請できる。増収額の上限は、総支出に対して総収入が不足する分までである。

 在来線は運賃のみが認可制で、特急料金などは届け出制だが、新幹線は必ず特急料金を払わなければならないため、自由席特急料金も運賃の一部とみなして認可制としている。ところが、今回の「のぞみ」と「みずほ」の特急料金値上げは、上記の仕組みによるものではない。