自社適合性:強みを活かす

 そして、最後のドメイン設定を考える際の視点として自社適合性があります。戦略策定の中でも非常に大きな意味をもつドメイン選定の中でも、最もインパクトがあり、かつセンスが問われる所です。

 市場や競争の外部環境に関しては、比較的世の中の共通見解としての一般論になりがちです。その領域で事業を展開している、または展開しようとしている人にとって、市場や競争を正しく理解することは当たり前のスタートラインです。そして、外部環境の将来の進化仮説に関しても、いくつかのシナリオやその確度に関しては若干異なるところもあるでしょうが、その領域をしっかり見ている人たちの間でそんなに大きくブレるものではありません。そこに、“自社が戦略で勝つ”ための、自社ならではのユニークな切り口を加えるのが、自社適合性の視点になります。

まず大前提として、

◎自社のビジョンと一貫しているか
◎その領域は自分達がビジョンに忠実でいられる領域か

 というのをよくよく考えることが重要です。「スマホ上で、コミュニケーションを促進することで、みんなを繋げる」ことをビジョンとしている会社が、単にオイシそうだから、勝てそうだから、自分達でできそうだからと言って、ニュースリーダーアプリを作っても、苦しくなった時に勝ち切るまで踏ん張ることができません。また、ビジョンと一貫していないことをすると、組織内で自分たちが何をやるのかというメッセージがブレて、メンバーの目線がバラバラになってしまい、組織崩壊の最初の綻びとなってしまいます。

 とにかくビジョンの回で述べたとおり、常に自分達のビジョンにピュアであることが、長い旅路の末大きなことを成し遂げるためには大切です。事業ドメインの設定の際も例外ではありません。どのようにドメインを設定するか迷ったら、とにかくビジョンに立ち返り、「これは自分達のビジョンを実現することに通じるのか?」と自問自答することです。