成長期には、よくない習慣がつきがち

 横軸に時間軸をとると、事業に成功して成長を果たした多くの企業の成長カーブは、図03のようなS字形の曲線を描きます。

 

 初期のころは、創業者を中心として成長への突破口を探しながら、いろいろな仮説やアイデアを試し、まだ見ぬ新しい製品やサービス、業態、展開方法の開発を行い、試行錯誤を繰り返して、何が市場に受けるのか、その「当たり」を探る努力を、謙虚な姿勢で真摯に続けます。

 そして、ある時「当たり」に遭遇すると一挙に成長期へ。

  この時に、ほとんどの場合「いけいけどんどん」で成長を実現し、社内もその成長に追い付くことに必死の状態になります。

 そして、目の前の売上機会をものにすることが優先され、本来ならこの時期に行うべき、正しい意思決定の手順や制度の整備は、つい後回しにされます。

 また、社内だけではなく経営者もこの時は、その成長が永遠に続くような錯覚を起こしがちですが、ある時この成長は頭打ちに。この時には営業部門や製品開発部門から、「競合が現れた」「市場が飽和した」あるいは「飽きられた」という説明がなされがちです。

 しかし、それが正しい現状把握なのかどうかは要検証です。

 成長期には、トップがよほど気をつけていないと、社内には、「因果を明確に追究しない」「とりあえず、(適当に)やっておく」というよくない習慣がつきがちです。