謙虚で真摯な事業への取り組み姿勢を持つ
ところで事業の低迷が長引き、そこから抜け出ることができない会社は実際に多いです。
会社がある規模に至ると、かつての謙虚な仕事への姿勢がどこかへいってしまい、企画→実施→検証→修正行動(つまりPDCA)の精度が低下してしまっているという状況を見かけます。
ジリ貧状態を抜けようという焦りから、「成長期にやって当たったことを、もう一度やろう」とする経営者は少なくありません。
しかしながら、全ての施策の成功には、成功の前提があるので、市場環境が変われば、当たる要因も当然ながら変わってきます。成功に向けた因果を踏まえていない打ち手は、まず上手くいきません。
この低迷期が長くなると、社内には、疲弊感とマンネリズムが蔓延するという状態になってきます。
創業のころの純粋な厳しさを持った方が上にいる場合は、まだ、皆、前向きな努力を続ける姿勢を持っていますが、保身、他責にする文化が芽生える危険が生じるのがこのころです。
長期低迷状態を脱出するためになすべきことは、次の三つです。
一つ目は、既存事業で競合状況が激しくなり、飽和状態になっているレッドオーシャン化した市場で勝ち抜く強みを習得する努力を始めること。あるいは強みを明確にして前面に出すこと。
二つ目は、今の会社の強みを活かして、まだ実現していない未開拓の新市場、ブルーオーシャン市場を実現できる力をつけること。これらを通して、第2、第3のS字の成長曲線を創造していくことです。
そして三つ目は、ビジネスを始めた初期のころのような、謙虚で真摯な事業への取り組み姿勢を持つことです。
(つづく)
※本連載は(月)~(金)に掲載いたします。
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