スポーツの魅力のひとつが、見る者に元気を与えてくれること。奮闘するベテラン選手がそれを証明している。

 女優の森光子さんが、89歳の誕生日に舞台『放浪記』の上演2000回を達成して話題になったが、スポーツ界でも「高齢」選手の奮闘が最近目につく。

 まずプロ野球・横浜の工藤公康。5月25日の東北楽天戦の9回、救援投手として登板。無失点に抑え、46歳にして勝利投手となった。

 最高齢勝利記録は1950年、阪急の監督兼任選手だった浜崎真二の48歳4か月。だが、この時のプロ野球は大戦の中断を経て再開されたばかりで、いわば黎明期。レベルは現在の方がはるかに高く、工藤の勝利は最高齢記録よりも価値があるといえる。

 また、工藤は40代での勝利数も37となり、1948年若林忠志(毎日)の36勝を抜いて、1位になった。現役選手でこれに次ぐのは山本昌(中日)の25勝だから、工藤の記録がいかに突出しているかが分かる。

 メジャー挑戦組にも頑張っている高齢選手がいる。広島で14シーズンプレーし、今季、ニューヨーク・メッツに入った高橋建投手だ。40歳になった直後の5月4日、対フィリーズ戦で中継ぎ登板。2回3分の2を1安打無失点という好投を見せた。MLBの高齢デビュー記録で40歳は歴代4位。上位3位までの記録は50年以上前のものだから、工藤同様の価値がある。以後は完全に戦力として認められ、5月30日現在で9試合12回3分の1を投げて防御率2.92。現在は中継ぎだが、この活躍が続けば先発登板の可能性もでてくる。

ゴルフや競馬でも
“アラフィフ”選手が活躍

 先週末に行われたプロゴルフ・三菱ダイヤモンドカップでは、54歳の中嶋常幸が優勝争いを演じた。3日目を終えた時点で2位タイ。レギュラーツアーの日本最高齢優勝は尾崎将司の55歳7ヵ月で、これに次ぐ記録が出るかと期待されたが、最終日に崩れて9位タイに終わった。しかし、この元気さがあれば、最高齢優勝記録更新の可能性も十分ある。