今回からは、司法試験をキャリアプランに組み込むための戦略を述べ始める。おそらくこの稿の読者の多くは、有職の社会人だろう。それを前提に考えていく。
働きながら司法試験に合格する道は
本当に閉ざされたのか?
まず最初に考える問題は「働きながら司法試験に合格する道は閉ざされたのか?」という点の検討である。この点について、新聞等の論調は悲観的である。すなわち、「平成18年から始まった新司法試験は、2年もしくは3年制の法科大学院を卒業しなければ受験資格がない。事実上、働きながらの道はなくなった」、という話である。
簡単にいえば、これはほぼ誤りである。新司法試験と平行して平成23年までは旧司法試験が実施されており、平成20年は200人程度、21年は100人程度を合格させる予定が法務省から発表されている。いま「働きながらの司法試験」は、最後のイスを争うデッドヒートなのである。ただし、新規参入は難しい。
では、新司法試験についてはどうだろうか。
社会人にとって壁となるのは、法科大学院に入学し、卒業するまでの2年または3年間である。会社を辞めるか、休めるか。この検討の末に、断念を余儀なくされる人間が数多い。悲観的に考えれば、新司法試験は試験制度ではなく、養成システムなのである。このため「お金持ちだけが弁護士になれる制度」などと揶揄されたわけだが、そんな論調に乗っかると馬鹿を見る。働きながらの道は、不可能ではないのである。
法科大学院は「全入」時代。
入れる法科大学院はどこかにある
物事を整理してみよう。法科大学院を修了するということは、要は修了単位を充足するということだ。大学卒業後ただちに就職した多くの社会人には、この大学院システムの割り切りが出来ていないように見える。大学院と聞くだけで、怖気をふるってしまうのである。