シリコンバレーのスタートアップはまず米国内を市場として見るが、
イスラエルのスタートアップは日本市場を尊重してくれる
「投資家、事業者、調査会社それぞれから見たイスラエル企業と日本企業との連携可能性」と題したパネルディスカッションでは、異なる立場からイスラエルビジネスに関わる4人の方から興味深い発言と、会場との活発な質疑応答があった。
1.iland6(アイランドシックス)Capital and Development 取締役 江副浩氏
イスラエル企業を日本で法人化するための資金、人、仕組みづくりをすべて行っている。イスラエルの情報を日本企業に伝える仕事もしている。イスラエルの技術は、例えば数式で特許を取るような数学が根本にある突出した通信・画像技術などがある。ただし、これまで世の中になかった全く新しい技術は大きく儲かる場合と、全くビジネスが成り立たない場合があり、ビジネスに適合するかどうかの見極めは注意すべき点。
イスラエル人=ユダヤ人というイメージがあるが、付き合ってみるとイスラエル人の顔を見て外国人という気がしないほど、なじんでいる。彼らは意外に商売下手で、日本の大阪商人や三河商人のほうがよほど商売がうまい。
また、シリコンバレーの場合、米国内の市場が大きいので、米国のスタートアップは日本企業にプライオリティを置いておらず、まずドメスティック、それからヨーロッパ、中国・韓国、そして日本という順番で日本の比重は10%ぐらいという印象だ。その点イスラエルは国内市場が小さいので初めからグローバル、なかでも日本をリスペクトしてくれる。
2.Fin Tech Global Capital (フィンテックグローバルキャピタル)合同会社 マネージング・パートナー 本藤孝氏
イスラエル企業への投資をしている。ベンチャーキャピタル(VC)の投資額はシリコンバレーとイスラエルが大きいのは「異常値」と捉えたほうがよい。日本のVC投資はヨーロッパの国々と比べれば決して見劣りしない。ただ、確率論的にイスラエルの技術は魅力的で、優位性があるのは通信系、セキュリティ系。軍事技術も、イスラエルは人口が少ないので人間を大事にしており「人を死なせない」ための技術に優れている。
「アラブボイコット」などと言われるが、韓国を代表する企業、サムスンがイスラエルに大きな投資をしているにもかかわらず、アラブから石油を止められたという話は聞かない。現実には「アラブボイコット」は存在しないのではないか。