3. Discretix(ディスクレティックス)カントリーマネジャー 春田篤志氏
組み込みのセキュリティ、暗号に関する技術を持つ企業で、アンドロイドの端末の大部分にそのソリューションが入っているはず。日本の半導体メーカーや携帯電話メーカーと取引がある。
イスラエル企業の前に所属していた米国企業2社と比べると、技術は優れているがロードマップがなく、行き当たりばったりに見えるところがあり、プロジェクト・プランニング、マーケティングの知恵がないように思えた。しかし、ひとたびターゲット市場が決まると非常にうまくいく。日本企業はパートナー的な立場で一緒にビジネスを育てていくという姿勢で臨んでもらうとよいと思う。
日本の大手企業はイスラエル企業との取引、あるいは出張が禁止という場合があるが、アメリカにも法人があるので米国法人と契約してもらったり、ヨーロッパの法人に日本とイスラエルから出張して会議をしたり、といった工夫をしている。
4.早稲田大学ビジネススクール准教授 樋原伸彦氏
専門はファイナンスで、イスラエルのベンチャー育成に関心を持っている。最近はシリコンバレーに次ぐ起業しやすい国として知られるが、これは1990年代にヨズマと呼ばれる政府系ファンドによるベンチャー育成が成功した結果で、それ以前は経済の面では社会主義的な国だった。
ヨズマファンドはお金がないことを逆手にとって、うまく運営されている。例えば、イスラエルR&Dセンターには、国のファンドだけでなく欧米大企業のファンドが入っている。対して日本の政府系ファンドは資金を大きくするばかりで、有効な投資がなされていない。日本は恵まれた環境であるにもかかわらず、なぜ有望スタートアップがでないのだろうか?
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世界的不況の中でも経済成長を続けるイスラエル。世界的IT企業が買収したがるスタートアップ企業を 輩出し、研究開発拠点や先進的な生産拠点が置かれるのはなぜか? 建国の経緯、軍隊のあり方、産業政策などを取材と調査・分析により生き生きと描きだし、 停滞する日本企業のイノベーションに多くの示唆を与える。