アメリカではライフスタイル情報といえば、自らが出演するテレビ番組・雑誌に始まり、自分の名前のブランドを冠した商品もプロデュースしているマーサ・スチュワートが、トップの座に君臨している。カリスマ主婦とも呼ばれ、中高年女性層に圧倒的な支持を受けているマーサに対し、デジタルグッズに慣れ親しんだ若い世代に向けて情報発信しているのが「Brit + Co. 」である。
同社を2011年に立ち上げたブリット・モリンは、AppleとGoogleでの勤務経験を持つIT業界出身者。ITと、ブリットが現在発信する料理、手芸などのさまざまな手作り情報は、一見すると掛け離れているように見える。しかしBrit + Co.は、数多くのデジタルグッズを使いこなす世代にも手作りを愛する人々は数多くいて、彼らはネットなどで情報収集している、と考えたところからスタートした。
同社は自社でのアプリ開発に力を入れており、ウェブサイトの開発や、モバイルアプリも社内で開発。また新郎新婦が結婚式をプランニングするのを支援するアプリ「Weduary」もプロデュースした。Brit + Co.はITが会社の柱と考えているため、現在10人いる社員の半数はIT技術者である。
さらに今年9月には、購読形式で毎月手作りキットを送る「ブリット・キット」サービスを開始した。サイトで反応の大きい手作りアイディアを厳選、その材料をすべて揃えたキットが購入できるというものだ。価格は月々19.99ドル。何が届くかはお楽しみだが、いずれも30分程度で完成できるような簡単な内容だという。
同社の大きな収入源は、他社とのタイアップやブランド提携である。最近ではユニクロのサンフランシスコ店開店に向けて、広告キャンペーンやイベントで協力した。ブリット本人が、ユニクロの広告にモデルとしても登場している。その他、インテル、ロレアル、3M、ニコンなどの企業とも提携している。
現在Webなどの利用者は200万人。今は「ウェアラブル・テクノロジー」や、さまざまな調理器具に注目しているという。
(岡 真由美/5時から作家塾(R))