ミドルマネジャーになって、何が一番変わるのか。それは、当然のことですが、「部下ができる」ということです。

 自分が面倒を見なければならない、責任を負わなければならないメンバーを持つということは、本来は家族を持つのと同じで、「自分が守るべき人たちができた」ということであるはずです。

 ところが、実際にはそんな気持ちになれない人がほとんどなのではないでしょうか。

 「自分の仕事だけで手一杯なのに、どうして部下の面倒まで見ることができるか」

 「結局は自分の成果が問われるのだから、部下を育成してもあまり意味がない」

 極端な場合、こんなことを言う人もいます。

 「部下を育てて、自分よりも出世したらどうするんだ。育てたら、損をするだけ」

 そこまでは思わなくても、「部下を育てると言っても何をどうしたらよいのかわからない」というミドルは多いはずです。

 若手の中には、自分よりもその分野の知識があったり、「自分はできる」とアピールしたがる部下がいたり、逆に仕事は淡々とこなしているものの、どうも自分からは前に出ようとせず、引き籠もっているように
見える部下がいたり……。

 彼らとどう関わり、どう育てて行けばよいのかわからない――。そんな本音を漏らすミドルも数多くいます。

人を育てることは組織や自分を
成長させる最も重要な取り組み

 ではそもそも、何のために人を育てなければならないのでしょうか?評価制度の評価項目に入っていなければ、部下を育てる必要はないのでしょうか?