大企業を攻めるのも同じことです。
例えば、飛び込み訪問などで真正面からぶつかっても、守衛や受付などの厳重なセキュリティにブロックされて、担当者と会うことすらできません。
仮に担当者に会えたとしても、いわゆる購買に関する「キーマン」でなければ、情報だけ取られて振り回されるだけで、1円の売上にもつながらないでしょう。あるいは「キーマン」に運よくあたったとしても、アプローチの仕方がまずいと泥沼の価格競争に引きずり込まれてしまいます。
大企業を攻略するにも、クジラを仕留めるのと同様に「技術」が必要なのです。
価格競争を回避する「価値の訴求」とは何か?
ここで、「クジラ市場」を攻める上で絶対に押さえておくポイントがあります。それは「価格競争の回避」です。そして「価格競争の回避」を行うために必要なのが「価値の訴求」です。
いかなる商売であっても、価格競争を回避するためには「価値の訴求」が大切です。すなわち「価値を売る」ことを考えなければいけません。では「価値を売る」とはどういうことでしょうか?
消費者向けビジネスの場合、「価値を売る」とは「体験を売る」ということです。
この「体験を売る」ことで、不況の宿泊業界の中で業績を伸ばしているのが星野リゾートです。星野リゾートは高級旅館「星のや」を運営する会社で、経営破綻した旅館やホテルを次々に再生したことでも知られています。
同社の運営するホテル・旅館は、芸術性の高い空間と卓越したサービスで非日常を演出し、決して安くはない宿泊料でありながらリピート率40%という、通常の旅館経営の2倍もの満足度を得ています。まさに「体験を売る」ことが強みの源泉となっています。
高級ホテルとして名高いリッツカールトンも、宿泊施設という「機能」を売るのではなく、やはり「非日常の空間」「極上のおもてなし」という「体験を売る」ことで、価格競争に巻き込まれず、独自の地位を確保しています。
「価値の訴求」ができれば価格勝負にはならない
では、法人向けビジネスにおける「価値を売る」とは、どういうことでしょうか?それはズバリ、「顧客代行」を行うということです。