「顧客代行」とは、本来顧客が行うべきことをこちら側が代わりに行うということです。
わかりやすい例が自動車の法人営業です。ここでは営業車の販売を考えてみましょう。多くの場合、企業が営業車に求めているのは「とにかく走ればよい」ということです。そこに個人の趣味趣向が入り込むことはありません。
しかも、企業は営業車をリースで購入します。リース期間はだいたい4年ですから、「とりあえず4年間持てばよい」というのが企業側のニーズです。したがって、営業車という「機能」を売り込もうとすると、「月々のリース料金はいくらなんだ?」という価格勝負にしかならないのです。
ところが自動車の法人営業でも、トップセールスの人は「価値の訴求」ができています。
具体的に言うと、彼らは購入窓口である総務部門だけでなく、実際に営業車を使用する営業マンともコンタクトを取っています。そして営業車が故障したりすると、自分の携帯電話に連絡をするようにお願いしています。
例えば「車のパワーウインドーが壊れたのですけど…」と連絡が入るとします。そうすると、そのトップセールスの人は、自分で修理工場を手配して、同時に代車も手配、その上で営業マンに「何時に代車をお届けしますから、車内の荷物の移し替えをお願いしますね」と段取りをつけるわけです。
こうした段取りは、本来は客先の総務部が行うべきことですよね。そしてすべての段取りが終わると、その会社の総務部の担当者に「大変申し訳ありません。車のパワーウインドーが故障しまして、修理と代車の手配をしておきました」と事後連絡だけ入れるわけです。
総務部の担当者からすれば、本来なら自分がしなければならない仕事を肩代わりしてくれるわけですから、手間のかかる仕事が減ることになります。これが「顧客代行」であり「価値の訴求」です。
このような「価値の訴求」ができていれば、総務部の担当者としてはこの自動車法人営業の会社から営業車を買い続けたくなるでしょう。仮にこの会社の見積りが高かったとしても「この値段を下回ればおたくに発注するよ!」と、さまざまな形で便宜を図ってくれるでしょう。
お客様にとっての「価値」が何かを知って、きちんと「価値の訴求」をすれば、どんな商品でも価格競争の回避は可能なのです。
(次回は11月1日更新予定です)
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