データは第一印象がすべて
だから紙質にもこだわる

 私を専属アナリストに抜擢してくれたのは当時、全日本女子チームを率いていた柳本晶一前監督でした。柳本前監督は選手の心理を把握することに長けた方です。

 男女問わずにいろいろなチームの監督を経験されて、ご自身でおっしゃるように「成功も失敗もたくさんしてきた」からこそ得られる人心掌握術をお持ちでした。

 「女性はパッと目で見て判断する感覚が優れている。だから数字じゃなくて感覚に訴えるようにした方がいい」

 チームに合流したばかりの頃の私は、選手や監督にアナリストとして認められよう、自分にできることを精いっぱいしようという気持ちが空回りぎみ。重要と思った数字や伝えたいことを片っ端から資料に盛り込み、私から見て“完璧な資料”を柳本前監督に渡していました。そんな資料を見ながら柳本前監督がくれたアドバイスが「パッと見てわかるようにしろ」でした。

 それからはなるべく文字量を減らし、グラフを使い、色分けをしました。

 企画書やプレゼンシートも白黒よりカラー、文字だけよりイラストや写真、グラフがあった方が、伝わる気がしませんか?

 さらには「手に取ったときの感じ」、つまり第一印象を大切にするようにしました。

 気づいている選手やスタッフは少ないと思いますが、伝えたい情報の中身や大会そのものの重み・重要度によって、「紙質」を変えて印刷することもありました。