自分がどう見せたいかは
二の次、三の次

 自分がどう見せたい、どう表現したいかは二の次、三の次。アウトプットに関しては、スタッフや選手の感覚を最優先しています。

 印刷すれば白黒の方がコストは安いし、スピードも速い。試合前のミーティング資料は、ギリギリのタイミングで印刷! ということも少なくないので、速い方がいい。それでも、資料はカラーでなければいけません。

 データは「自分が伝えた」という事実が大事なのではなくて、相手が理解して、それを吸収して初めて活かされるものです。

  「伝えた」というのはまだ途中経過。
ゴールはあくまでも「伝わること」です。

 逆に言えば、監督や選手に伝わらなければ、いくら印刷を安く上げても、効果はゼロ。目的を果たしたとは言えません。

 データを集めることや、細かく分析すること、知的に見せることに執心し、真の目的である「現場を動かすこと」さらには「チームを勝利させること」を見失ってしまう。ビジネスの現場でも、よくあると聞きます。

 監督や選手、他のアナリストたちの、せっかくの奮闘努力が水の泡にならないよう、現場に「伝わること」を常に意識して仕事をしていかなければと肝に銘じています。

 次回は、「情報をあえて減らす」ことについて、お話をしたいと思います。

 次回は11月14日更新予定です。


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データを武器にする
勝つための統計学

日本初の全日本女子バレーボールチームの
情報戦略担当アナリストによる、チームを勝利に導く法

『データを武器にする』
渡辺啓太著

  ロンドン五輪で28年ぶりに女子バレーに銅メダルをもたらし、世界一のデータバレーを誇る日本。驚きの勝利の裏にあったものは、「いかにして現場でデータを効果的に使って、人の心を動かし、チームを勝利に導くか」にあった。
  本書は、日本初の全日本女子バレーボールチームの情報戦略担当アナリストによる、チームを勝利に導く方法がまとめられている。時にはアナログな手法も使いながらデータを「武器化」し、選手やリーダーである監督、スタッフを動かし、不利な状況の中、チームで勝利をつかんでいったのか、具体的なエピソードを入れながら、わかりやすく解説している。

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