目的はデータ「分析」ではなく
選手に「活用」してもらうこと

「アナリストは、情報を伝えるときはプレゼンターでもあるんだ」

 専属アナリストとしてアウトプットまで一貫して受け持つことになって気がついたことです。大会時に試合だけを見て、データを提供しているだけでは知り得なかった「伝えること」の重要性

 このときから、ミーティングの場を、「一方的にデータを伝える発表の場」ではなく、選手を巻き込んで意図を伝えていく「プレゼンテーションの場」として捉えるようになりました。

 データの工夫も1人で考えていると自分本位になりがちです。私は新しいことを試したときは、必ずスタッフや選手に「どうですか? わかりづらくないですか?」と感想を求めるようにしています。

 アナリストになりたての頃は、私はまだ大学生。選手の方が年齢もキャリアも上という状態でしたので、「何が言いたいかわからない」といった選手のダイレクトな反応が何より参考になりました。

  「こっちとこっちだったら、どっちがわかりやすい?」

 同じ表現でも、どう見せたらスタッフや選手の感覚に近づくのか、どういう道筋で理解するのかを徹底的にリサーチしました。

 目的はいいデータ分析をすることだけでなく、「選手たちに理解してもらって、試合で勝つために、そのデータを活用してもらうこと」ですから、受け取る側の選手がわかりやすいのが最良の方法です。