「去年どのくらい儲かったか」に惑わされるな!

 次に、「リスクとリターン」の観点から比較を続けていきましょう。

 もう一度、比較表をご覧ください(下表、再掲)。パフォーマンスの程度を示す「リターン」、そして運用効率の度合いを表す「シャープレシオ」に注目することで、その投資信託のリスク・リターンのバランスがわかります。

これでもう金融機関のカモにならずに済む!<br />投資信託を買う際は、3つのポイントに着目せよ(再掲)今度は「2. リスクとリターン」を比べてみよう。

 この表には、「リターン」と「シャープレシオ」が経過期間の違いに応じてそれぞれ4種類ずつ記されています。どの数字に着目すればよいのでしょうか?

 いくつかの投資信託を比較するとき、少なくない方が「去年はどのくらい儲かっているのかな?」という目で見てしまうようです。たしかに、直近でどのくらいの成績を上げているかは気になるところではあるでしょう。ためしに3つの投資信託の「リターン1年」を見比べてみると、80.00%をあげている〈aファンド〉がダントツの1位です。

 しかし、たとえ直近1年で驚異的なパフォーマンスをたたき出していたとしても、それが一時的なものでは意味がありません。長い期間にわたって安定的にパフォーマンスをあげているものこそ、私たちが選ぶべき投資信託です。したがって、リスクとリターンをチェックする際には、できるだけ長い期間の値で比べるようにしましょう。

 そこで今度は、「リターン10年(年率)」という項目に注目します。すると、もっとも優れているのは〈cファンド〉の8.00%だとわかります。

 次にシャープレシオの値で、どれだけ効率的に運用しているかも確認しておきましょう。ここでもできるだけ長い期間である「シャープレシオ10年」を見ると、またしても〈cファンド〉がNo.1のようです。

 以上から、リスクとリターンという観点では〈cファンド〉がいちばんよさそうだと評価できます。

   2. 「リスクとリターン」の観点…〈cファンド〉がよい。

 ここまでの比較で、コストの低さでは〈bファンド〉が、リスクとリターンの観点からは〈cファンド〉がよさそうだとわかりました。この時点で、まだ1つも勝ち星を上げていない〈aファンド〉は候補から除外します。

 残った2つの投信のうち、一騎打ちを制するのはどちらでしょうか?