最後に残った投資信託はどっち…?

 もう一息です。第3の比較ポイント「運用資金の大きさと推移」をチェックしていきましょう。

 前ページの比較表で「純資産」という欄を見ると、〈bファンド〉は1500百万円であるのに対し、〈cファンド〉は8000百万円もの規模があります。運用できる金額が小さければ小さいほど投資できる銘柄数が少なくなり、したがって安定性が下がってしまいますから、この場合は運用資金が大きい〈cファンド〉のほうが望ましいといえます。

 次に、運用資金の推移はどうでしょうか。両者の資金流出入の推移を調べてみると、下のグラフのとおりでした。

「3. 運用資金の大きさと推移」をチェック。こうして見ればどちらが良いかは一目瞭然だ。

 一見しておわかりのように、〈bファンド〉は下向きのグラフが並んでいることから、資金の流出が続いていることがわかります。一方の〈cファンド〉はというと、こちらはきれいに資金流入が続いています。というわけで、「運用資金の大きさと推移」という観点からは〈cファンド〉が良いと評価できます。

 以上、3つの視点から総合的に投信を評価した内容をまとめると、次のとおりです。

   1. コスト:〈bファンド〉
   2. リスクとリターン:〈cファンド〉
   3. 運用資金の大きさと推移:〈cファンド〉

 最終的なジャッジとしては、2つの勝ち星を獲得した〈cファンド〉がもっともよさそうだと判断できます。

 いかがでしたか? 投資信託選びは、コツがわからないと「どこから手をつければいいんだろう」ととまどってしまいますが、今回ご説明した手順で考えていけば、それほど難しいものではありません。このやり方に倣って、次回は国内株式型の投資信託を実際に選んでみることにします。

※次回は、11月29日(金)に配信予定です。


【編集部からのお知らせ】

「投資信託を始めたいけれど、どれを選べばいいかわからない」
モーニングスターのトップがその悩みを一気に解決。
自分に適したポートフォリオの組み方からファンド選びまで
この1冊で知りたいことが全部わかる!

272ページ/1,680円(税込)

投資信託選びのポイントをまとめた定番のロングセラーに、このたび新版が出ました!『〈新版〉投資信託選びでいちばん知りたいこと』は、最新のマーケット環境にあわせて内容を大幅リニューアル、事例も刷新。わかりやすい解説と豊富な図解で、初心者でも途中でつまずく心配はありません。
これから資産作りを始めたい現役世代も、すでにある資産を運用しながらセカンドライフを謳歌したいシニア世代も、この1冊があればもう迷うことはありません。2014年1月から始まるNISA(少額投資非課税制度)を機に投資信託を始めようと思っている方にとっても、役立つ知識が満載です。

ご購入はこちら⇒[Amazon.co.jp] [紀伊國屋BookWeb] [楽天ブックス

こちらもおすすめ!

224ページ/1,575円(税込)

「給料は上がりそうにないし、年金もあてにできない。将来に備えて投資信託を始めたいけれど、何をどうしたらいいの?」――そんな悩みを抱える30〜40代のために、モーニングスターのトップが書き下ろした好評既刊『30代からはじめる 投資信託選びでいちばん知りたいこと』。
働きざかりの世代が将来に向けた資産設計を考えるうえでぜひとも押さえておきたいポイントが、この1冊でわかる。


 

ご購入はこちら⇒[Amazon.co.jp] [紀伊國屋BookWeb] [楽天ブックス