「運用資金の大きさと推移」で、運用の安定度がわかる

 投資信託を実際に運用するファンドマネジャーにとって、「どのくらいの規模の資産を運用するか」という点は非常に重要です。あまりに規模が小さいと、ファンドマネジャーは買いたい銘柄も買い付けられず、結果としてパフォーマンスを上げづらいからです。安定的に運用できる規模としては、最低でも1億円規模、商品数が多い種類の投資信託(国内株式型など)なら最低10億円規模の商品を選ぶようにしましょう。

 また、投資家からのお金が集まる(あるいは解約される)「ペース」も要注目です。資金が順調に集まり続けていれば投資信託を安定的に運用することができますが、逆に、多くの投資家がいっせいに解約に走れば、運用会社は保有していた銘柄を売却して現金を用意しなければならなくなるため、思いどおりの運用ができなくなってしまいます。

 加えて、多くの資金が一気に集まってしまうのも、運用上はあまり好ましいことではありません。主な理由はコストです。資産規模が増えれば、ファンドマネジャーが1つの銘柄に投資する金額が増えるので、その銘柄を一度に買えない可能性が出てきます。大きなお金を動かすぶん、想定していた以上にその銘柄の価格が上がると、1株あたりの購入単価も上がってしまい、全体の購入コストがかさんでしまいます。

 以上のような理由から、私たちが投資信託を選ぶ際には、第3のポイントとして「運用資金の規模はどのくらいか」「資金の流出入に急激な増減がないか」を注意深く観察しようというわけです。

 さて、以上で説明してきた3つのポイントを踏まえたうえで、今度は簡単な例を使ってもう少し具体的に比較のしかたを説明していくことにしましょう。