Facebookが大好きなタイのネットユーザー
今回はタイの話をしてみたい。数年前までは、3Gの通信免許が発行されず携帯電話の通信網が脆弱で、サイト閲覧するだけでも、日本人ならばイライラしてしまうほどつながりにくくアプリダウンロードなどできる状況ではなかった。しかしながら3Gの通信環境が整備されるにつれ、接続速度も高速になり、以前のようなストレスを感じなくなってきた。
それに呼応するように、スマートフォン自体の普及も急ピッチですすみ、大手調査会社の一つであるGfKタイランドによると、2012年のスマートフォンの出荷台数は前年比約2倍で、携帯電話出荷台数のうち、35%を占めるようになった。さらには、今年の数値は50%に近づくと予想されている。
タイの地域を見るとまだまだ遅れていると言わざるを得ないが、首都であるバンコクだけを見てみれば、若い層のネットライフスタイルは東京とそれほど違わないレベルにあるといえよう。
タイのデジタルマーケティングを語る中で、特筆すべき点が二つある。一つは、Facebookのアクティブユーザーが非常に多いという点。タイのネットユーザーの数はおよそ2500万人といわれるが、そのうちの実に2400万人がFacebookを利用しているという。
もう一つの特徴は、タイのネット環境はまだまだPC中心であるという点だ。モバイル通信網の整備が遅れたため、モバイル単独で展開される施策は例が少なく、PC、スマートフォン、タブレットを含めたマルチデバイス対応の統合デジタルキャンペーン施策が多い。日本のようにモバイルマーケティングが単独で成立した経験がない結果、PC活用を前提とし、スマートフォンやタブレットを必須で組み込む流れにあると考えた方が理解しやすいといえよう。
バズビデオが人気、比較的水準の高い事例を体験できる
D2Cの出資先である現地法人、MCFIVA社(http://www.mcfiva.com/)の手掛ける事例を見てみよう。
最初はマイクロソフトがクライアントの、インターネットエクスプローラー(IE)のプロモーション事例だ。これは、簡単に言えばショートストーリーのビデオコンテンツである。従来は他社製品に比べてどのように高性能かという機能訴求を中心に展開していたが、アプローチを変え、半ばユーモラスなストーリーでネットユーザーにブランディングする、IEに親しみを持ってもらうというスタイルを選んだ。
この手の手法をバズビデオというが、タイだけでなく、東南アジアやインドでは人気のある手法だ。このコンテンツでは、マイクロソフト社の社員がライバル会社につかまって監禁され、「こちらの製品のほうがいいだろう?」と責められるが、最期まで「IEのほうが優れている」と言い続けるというシンプルなもの。しかし、つい見入ってしまう出来だ。