12月12日(木)に、自民党と公明党が2014年度の与党税制改正大綱を決定しました。そこから明らかになったのは、日本で最大の岩盤規制は自民党税調だということです。岩盤規制というと、改革がなかなか進まない雇用、農業、医療、教育といった分野の規制がイメージされがちですが、自民党税調はそれ以上に経済再生を妨げていると言っても過言ではありません。

軽自動車の税金だけ増税
低所得者へのしわ寄せ

 与党税制改正大綱に関して新聞報道を賑わしているのは、消費税増税に伴う軽減税率です。結局、“税率10%時に導入”、“14年12月までに結論を得る”という結論先送りの表現になりましたが、それも導入に積極的な公明党が頑張ったからに他なりません。自民党税調だけだったら、もっと導入に後ろ向きな表現で終わっていた可能性があります。

 しかし、それも変な話です。消費税増税時の低所得者対策としては、低所得者への給付金と軽減税率の2種類があります。来年4月の8%への増税の際は前者の給付金で対応(1万円)となっていますが、これは15年10月の再増税までの期間をカバーしたものに他なりません。

 つまり、自民党税調は、消費税の10%への増税は是非ともやりたいけど、その時の低所得者対策については結論を先送りしただけなのです。その理由はおそらく、低所得者への配慮よりも、時間をかけて財政負担や税収減が最小となる手段を考えるということを優先しただけです。

 一方で、自動車関連では、自動車の購入時にかかる自動車取得税を減税すると同時に、軽自動車税を増税しました。自動車の購入時に消費税と取得税がかかるという二重課税の議論から始まったはずなのに、その減税分の財源は自動車関連の他の税で取り返すという、経済全体ではなく自動車関連の狭い税の世界の中だけで帳尻合わせをする形で終わり、結果として、低所得者がもっとも使う軽自動車で増税となったのです。