パ・リーグのルーキーとしては、実に61年ぶりに開幕投手を務めた則本昴大(23)。そして「楽天vs巨人」の日本シリーズでは、大車輪の活躍で楽天を球団史上初の日本一に導いた。
このたび、『野生の教育論』 を発刊した野村克也氏(78)は、則本の活躍をどう見ていたのだろうか。

「なんでおれが監督のときに
とってくれなかったのか?」

野村克也(のむら・かつや) 1935年京都府生まれ。テスト生として南海に入団。1965年、戦後初の3冠王。首位打者1回、本塁打王9回、打点王7回、MVP5回を獲得。35歳で選手兼任監督となり、8年間でAクラス6回、1973年リーグ優勝。ロッテ、西武でプレーし45歳で引退。「野村スコープ」で話題となった9年間の解説者生活を経て、1990年からヤクルト監督。弱小球団の選手たちに闘争心と人間教育を中心とした教養を植えつけ、リーグ優勝4回、日本一3回へ導く。阪神、社会人・シダックス監督を経て、2006年から楽天監督。田中将大を1年目から11勝&新人王に育てる。2009年、球団初のクライマックスシリーズに進出。宮本慎也、稲葉篤紀ら多くのWBC日本代表を育てた。現在、日本体育大学客員教授。

 2013年の楽天の日本一には、田中将大という大エースとジョーンズ&マギーという両外国人、すなわち「チームの中心」がしっかり仕事を果たしたことが最大の要因だと私は考えている。

 ただし、もうひとり、忘れてはならない選手がいる。
 ルーキーながら開幕投手を務め、田中の1年目を上回る15勝をあげた則本昴大である。

「どうしてこんなピッチャーをおれが監督だったときにとってくれなかったのか……」

 則本を生で初めて見たとき、思わず私はつぶやいてしまった。
 則本の登場は、それほど私にとっては衝撃だった。

「田中以上の素材」という意味

 私の見るところ、田中以上の素材と言ってもいいように思う。

 則本のすばらしいところ、その第一はスピードだ。
 単純な球の速さだけなら田中以上だろう。

第二に、原点能力、すなわちアウトコース低めにズバッと投げ込む能力が抜群である。

 だが、それ以上に私が買っているのは、彼の“面構えだ。

 闘争心や反骨心、すなわち“野生”がみなぎっている。あれだけいい面構えをしている選手は、近頃はめったにいなくなった。