パ・リーグのルーキーとしては、実に61年ぶりに開幕投手を務めた則本昴大(23)。そして「楽天vs巨人」の日本シリーズでは、大車輪の活躍で楽天を球団史上初の日本一に導いた。
このたび、『野生の教育論』 を発刊した野村克也氏(78)は、則本の活躍をどう見ていたのだろうか。
「なんでおれが監督のときに
とってくれなかったのか?」
2013年の楽天の日本一には、田中将大という大エースとジョーンズ&マギーという両外国人、すなわち「チームの中心」がしっかり仕事を果たしたことが最大の要因だと私は考えている。
ただし、もうひとり、忘れてはならない選手がいる。
ルーキーながら開幕投手を務め、田中の1年目を上回る15勝をあげた則本昴大である。
「どうしてこんなピッチャーをおれが監督だったときにとってくれなかったのか……」
則本を生で初めて見たとき、思わず私はつぶやいてしまった。
則本の登場は、それほど私にとっては衝撃だった。
「田中以上の素材」という意味
私の見るところ、田中以上の素材と言ってもいいように思う。
則本のすばらしいところ、その第一はスピードだ。
単純な球の速さだけなら田中以上だろう。
第二に、原点能力、すなわちアウトコース低めにズバッと投げ込む能力が抜群である。
だが、それ以上に私が買っているのは、彼の“面構え”だ。
闘争心や反骨心、すなわち“野生”がみなぎっている。あれだけいい面構えをしている選手は、近頃はめったにいなくなった。