2013年は、野村克也氏が手塩にかけて育てた選手が相次いで引退を表明した1年でもあった。
『野生の教育論』を刊行したばかりの野村氏に、宮本慎也、山﨑武司、桧山進次郎、石井一久、稲葉篤紀ら、40歳を超えてもプレーし続ける秘訣、共通点について語ってもらった。
今年引退した教え子たちの共通点とは?
2013年限りで、宮本慎也、山﨑武司、桧山進次郎、石井一久という私の教え子たちが揃って現役を退いた。
いずれも40歳を超えるまでプレーしての引退。最年長の山﨑にいたっては45歳である。
宮本とともに昨年2000本安打を達成し、42歳となる来季も現役続行予定の稲葉篤紀も含めて、彼らがこれほど長く現役を続けられた理由として、ひとつ指摘しておきたいことがある。それは、
「感謝の心」である。
彼らはそれを忘れなかったからこそ、あれほど長く現役を続けられたのだと私は思っている。
たとえば、稲葉篤紀だが、彼をドラフトで指名するようヤクルト球団に要請したのは、この私であった。
たまたま神宮球場に息子の克則(当時明治大学)の試合を見に行くと、当時法政大学にいた稲葉が2本もホームランを打ったのが理由だった。