則本の今後の課題とは?

 むろん、若さと経験不足ゆえ、まだまだ課題はたくさんある。

 たとえば、先発した日本シリーズ第1戦。則本は0対1とリードされて迎えた8回に村田修一にホームランを浴びたが、これは配球ミスから生まれたものだった。

 状況はツーアウト、ランナーなし。則本と嶋のバッテリーが絶対に喫してはいけないのは長打にほかならない。
 当然、村田もそれを狙っている。
 しかも、村田は常にストレートを待つタイプ。
 そこに初球からアウトコース高めのストレートを投げるのは、「打ってください」と言っているのと同じ。自殺行為であった。

 大活躍したことで、来季の則本は他球団から厳しく研究され、徹底的にマークされるだろう。痛い目に遭うことも増えるに違いない。

 しかし、失敗をするなかで人間は成長していく。
 コンプレックスを闘争心と反骨心に変えてきた則本であれば、ちょっとやそっとの試練に負けることはないだろうし、必ずや失敗を糧にしてさまざまなことを学び、成長していくはずだ。

“野生を失わなければ、田中を超えるエースになることも不可能ではない。

 期待をこめて則本の来季以降を見守りたいと思う。

 次回は、入団1年目から私が手塩にかけて育ててきた嶋のリードは果たして成長したのか? 日本シリーズを題材に紹介したいと思う。ご期待いただきたい。

 次回は12月27日更新予定です。 


<新刊書籍のお知らせ>
『野生の教育論』 野村克也 著

【野村克也・特別寄稿】<br />雑草・則本昴大の「面構え」に<br />“野生”を見た!

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知将・野村克也がなぜいま、「野生の教育論」を語るのか?
田中将大の「連勝記録世界新」は、いかにして生まれたのか?
日本シリーズでの「女房役」嶋基宏の評価はいかに?
相次いで引退表明した、宮本慎也、山﨑武司、桧山進次郎、石井一久は、なぜ40歳超まで現役を続けられたのか?
「理」を重んじる野村克也の「真の野生」が凝縮した集大成。
選手や部下の悔しさを引き出し、“眠った野生”に火をつける言葉!

『野生の教育論―闘争心と教養をどう磨くか』目次
◆【プロローグ】 なぜ、私が「野生の教育論」を語るのか
◆【第1章】 野生とは「闘争心×教養」である
◆【第2章】 マー君、神の子、不思議な子――「連勝記録世界新」は、いかにして生まれたのか?
◆【第3章】 野生を支える「教養」をどう磨くか
◆【第4章】 選手や部下の悔しさを引き出し、“眠った野生”に火をつける言葉
◆【第5章】 我慢力と感謝の心の育て方
◆【第6章】 小事が大事を生む
◆【エピローグ】 美意識と自己肯定で強く生きる

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