則本の今後の課題とは?
むろん、若さと経験不足ゆえ、まだまだ課題はたくさんある。
たとえば、先発した日本シリーズ第1戦。則本は0対1とリードされて迎えた8回に村田修一にホームランを浴びたが、これは配球ミスから生まれたものだった。
状況はツーアウト、ランナーなし。則本と嶋のバッテリーが絶対に喫してはいけないのは長打にほかならない。
当然、村田もそれを狙っている。
しかも、村田は常にストレートを待つタイプ。
そこに初球からアウトコース高めのストレートを投げるのは、「打ってください」と言っているのと同じ。自殺行為であった。
大活躍したことで、来季の則本は他球団から厳しく研究され、徹底的にマークされるだろう。痛い目に遭うことも増えるに違いない。
しかし、失敗をするなかで人間は成長していく。
コンプレックスを闘争心と反骨心に変えてきた則本であれば、ちょっとやそっとの試練に負けることはないだろうし、必ずや失敗を糧にしてさまざまなことを学び、成長していくはずだ。
“野生”を失わなければ、田中を超えるエースになることも不可能ではない。
期待をこめて則本の来季以降を見守りたいと思う。
次回は、入団1年目から私が手塩にかけて育ててきた嶋のリードは果たして成長したのか? 日本シリーズを題材に紹介したいと思う。ご期待いただきたい。
次回は12月27日更新予定です。
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◆【第2章】 マー君、神の子、不思議な子――「連勝記録世界新」は、いかにして生まれたのか?
◆【第3章】 野生を支える「教養」をどう磨くか
◆【第4章】 選手や部下の悔しさを引き出し、“眠った野生”に火をつける言葉
◆【第5章】 我慢力と感謝の心の育て方
◆【第6章】 小事が大事を生む
◆【エピローグ】 美意識と自己肯定で強く生きる
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