私も、苦労話書こうかな(笑)
ちきりん 堀江さんはこの『ゼロ』を通して、そういった「言ってもわからないかもしれない人たち」にもどうにかして伝えようとしてますよね? そこにすごく驚いたんです。てっきり、私と同じスタンスだと思っていたので。
堀江 変わったんですよ。前は、ちきりんさんみたいに、わかる人にだけわかってもらえればいいと思っていました。でもほんとうに、僕の想像以上に、まったく伝わっていなかった……(笑)。その原因は、僕に対する偏見です。過程をすべてすっ飛ばして、結論だけしか言ってこなかったのもダメだった。だから今回、伝え方を180度変えたんです。
ちきりん そうやって変われることが、すごいと思います。歩み寄るのにも、大きな勇気と努力がいりそうだし。
堀江 ありがとうございます。
ちきりん ある意味、壮大なチャレンジですよね。
堀江 そう、この本を出すということ自体が、僕の新たなチャレンジなんです。できれば、まだ何者でもない時代の挫折や、自分の家族の話なんて、わざわざ本に書いてさらしたくはないですよ。でも、もともと伝えたい人だけでなく、本来は伝わらないような人にまで自分のメッセージを伝えていくためには、そういったことも含めて「自分」を正直にさらけ出さないとダメなんだと思いました。
ちきりん そういうことさらけ出すのって、気恥ずかしくないですか?
堀江 そりゃ、恥ずかしいですよ。でも、ちっちゃなプライドをぜんぶ捨てて、伝えることにようやく覚悟が持てるようになったのは、さっき言ったような悔しさがきっかけになっているところはありますね。僕は、あきらめが悪いので(笑)。
ちきりん なるほど。そしてそれが、今回すごい効果を発揮していますよね。この前『ゼロ』のアマゾンレビューを見たんですけど、絶賛の嵐でびっくりしました。「見直した」とか、「こんないい人だとは思わなかった!」とか。堀江さんもアンチが多いはずなのに、今まで多かった悪意のレビューは埋もれてしまって、全然目立たない。これまでの本と全然違う受け止められ方をしています。
堀江 そうですね。5つ星レビューの多さには、僕がいちばん驚いています。
ちきりん 苦労をさらけ出すことでこんな絶賛レビューばかりになるんだったら、私も「ちっちゃいころ、いじめられていました」とか、いろいろ言っちゃえばいいのかも、と思ったりしました(笑)。
堀江 いいですねー、ぜひ言っちゃってくださいよ(笑)。