さらに、核心の調査や原因究明が足りないということだけでなく、責任の所在を明らかにしない検証姿勢についての批判もあった。

 前回の第9回検証委会合でも、この最終報告案は、管理職や関係機関の責任の所在が明確にされていないという指摘が出ている(前回参照)。

 検証では責任追及をしないことは誰もが理解するところだが、学校の運営や安全管理等について、誰にどんな責任があったのかを明らかにすることは必要だ。

 規定や権限に照らしたうえで、あるべき体制や対応の整理をしてから不備を指摘しなければ、今後、現場の先生たちが萎縮することになる。また、検証委員自体が、何に軸を置いて評価・分析したのかも伝わりにくい。

 だが、室﨑委員長は遺族に「それはかなり難しい問題だ」と答えている。それに対し、遺族側からは、「調査の限界があるなら、(報告書に)書くべき」という意見が出され、室﨑委員長は、「検討します」とした。

裏山の傾斜角度、報告書の体裁…
多岐に渡った遺族からの指摘

 また、事実に基づいた記載や明確さを求めて遺族たちが列挙したポイントも数多くあった。サバイバルファクター、裏山の傾斜角度、捜索に関する関係機関の対応、報告書の基本的な体裁について等、総論から各論にわたって不備の指摘があった。

 室﨑委員長が書きぶり変えると約束をしたのは、例えばこんな部分だ。

 報告案では、学校の裏山の平均斜度が20度を超え、最大斜度が30度を超えると説明している個所がある(29ページ)。遺族たちは、これがかなり広い範囲をひとくくりにした数値であることを問題視した。

 この指摘によって、平均斜度は、調査委員たちが単純に地形図上で算出した、現実感の薄いデータであることが判明した。

 そこで遺族側は、体育館の裏手の最もなだらかな斜面で実測した測量データを提示。実際には山裾から数十メートルにわたって10度前後の角度が続いていることを明記すべきだと求めた。さらに、実際に、津波に飲まれて助かった生存児童が必死によじ登った斜面は、最大斜度の場所であったことも加えるべきとした。

 その他に、検証委員会が調査・収集した情報が、破棄されてしまうのではないかと心配する声も挙がった。